食品マーケティング&食品商品開発
コンサルティング
小川マーケティング事務所

食品開発(=食品新製品開発)の進め方

よく「食品開発」という言葉が使われますが、多くの場合、素材、加工方法などの工夫をして研究所、工場などで新しい食品をつくることを意味しています。
売上げ、利益を上げるためには、製品レベルで他社の商品と比較して差別化され独自性のある食品開発(=新製品開発)が必要です。
「製品レベルでの差別化、独自性が必要」この考えに異論がある方は少ないと思います。
それが出来ないことが問題なのです。
大きな差別化でなくても、今市場で売れている商品よりちょっといいもの、お客様が興味を持ってくれそうな要素を加えるだけでもいいのです。
仮に他社商品の追随であっても、その製品、商品そのもの(味わい、容量、パッケージ、価格)を真似るのではなく、何故その商品が売れているのかを考え、お客様に違いがわかる差別化された製品の開発を進めていきましょう。
食品の99%以上は元々存在していた商品の改良、改変で生まれている広い意味での追随商品です。
したがって追随商品が悪いということではありませんが、「これまでの商品とここが違っている」という特徴が無いと客様はこれまで口にしていた商品からのブランドスイッチはしてくれません。

是非、他の商品(注)との違いをつくる食品開発(=新製品開発)をするようにしてください。
(注)開発するのは「製品」、それを買ってもらうためにパッケージ、キャッチコピーなどを工夫する商品化を行ったものが「商品」です。

食品購買心理における製品の差別化の必要性

食品の購入にあたって「皆が食べているもの、飲んでいるものが欲しい。皆が食べているのだから多分おいしいのだろう、みんなが食べているのだから安心」という購買心理が強く働きます。
いちいち情報を収集する面倒くささもありませんから。
皆が買っているものはおいしいはず、だから安心ということで、特に食品の場合はトップブランドが揺るぎない地位を築くのです。
しかし、この購買心理とは矛盾するもう一つ強い「珍しいもの、新しいものを試してみたい」という購買心理があります。
いわゆる好奇心で、通常は前述の付和雷同の購買行動になりがちな消費者の心にもある購買心理です。
食品の場合は単価が低いために気軽に買えますから。
陳列棚で新商品、新発売というPOPをよく目にしますが、このような購買心理に訴えているのです。
しかし、新商品であること自体で興味を持ってくれるお客様もいますが、競合商品からのブランドスイッチを図るには製品の差別化が最も効果があります。
「食品に対する特有の購買心理」がある限り、単なる追随ではヒット商品は生まれにくい、差別化があってこそヒット商品になり得るということがお分かりになると思います。

差別化製品をつくるために

製品の差別化の必要性はお分かりになったと思いますが、単に他の商品と違うものをつくればいいということでなく、その差別化がお客様にとって価値があるものでなくてはなりません。
差別化製品をつくるためには主に以下の工夫が必要です。
一、原材料の工夫
一、製造方法の工夫
一、容器の工夫
今、消費者が食品に求めているのは「おいしさ(=おいしさ感)」と「機能性(=健康維持、増進)」です。
この二点での差別化が優先されますが、企業それぞれにノウハウ、スキルがあるでしょうから他にも差別化の手段はあることでしょう。
差別化製品はほとんどの場合これまでの商品と比べてコストが高くなりますが、価値のある製品であれば相応に価格を高くしても買ってくれるお客様は存在しています。
特に中小食品メーカーの皆さんにおいては、そのようなお客様が10人、いや100人に一人でもいれば売上げ、利益が大幅に向上することは間違いありません。
これまでの商品と変わり映えのしない商品を低価格で販売しているマーケティングでは企業の業績向上は難しい時代です。