新製品・新商品開発における顧客志向の取り入れ方

企業におけるマーケティング活動の目的は「利益を上げ、社会に役立つこと」です。
モノ不足の時代にはモノづくり偏重(プロダクトアウト)で多くの商品を効率よく生産して市場に供給することで目的は達成できました。
しかし市場が飽和し、シェア争いとなっている今の時代、消費者の心を動かし、心を満たす商品で他企業商品からのブランドスイッチで利益を上げることが必要になってきます。
それを実現する手段の一つに「顧客志向(顧客第一主義、消費者志向、お客様本位・・・)があります。
「顧客志向」は利益を上げるための手段であり、目的ではありません。
企業の経営理念に「顧客志向」という文言がよく出てきますが、よくよく考えると経営理念にあるのはおかしく事業方針、行動基準にあるべきなのでしょうね。

顧客志向のマーケティング施策への問題点として、顧客の要望ばかりを取り入れて新製品・新商品開発をしていくとアイテム数が膨大になってしまいマーケティングコストが上がって利益が低下してしまうことが指摘されています。
やみくもに顧客の要望を取り込むのではなく、マーケティング戦略をきちんと構築し、それをもとに顧客の要望を取捨選択することが必要です。

では顧客志向をどのように実行していけばいいのでしょうか?
「顧客志向」マーケティングにおけるすべてのプロセスで効果があるものですが、ここでは新製品・新商品開発における「顧客志向」を考えてみましょう。

まず「顧客志向」で新製品・新商品開発を進めるにあたっては顧客を知らなくてはなりません。
だからといって消費者調査をして顧客のニーズを集めて、それを整理しただけで顧客にとって魅力的な製品を生み出すことは出来ません。
その理由は、そのようにして集めた顕在的なニーズはすでに競合他社でも把握している可能性があり、また、潜在的なニーズは顧客自身さえ意識していないため、新規性のあるニーズが語られていない可能性があります。
一つの方法として、新製品開発、新製品・新商品開発者自身が購入者の立場で店頭に行って買い物をし、なぜそれを手にしたのか、なぜそれを手にしなかったのかを考えてみることです。
特売品になぜ魅力を感じたのか、賞味期限切れ間近の値下げ商品を手にしたのか、牛乳パックの棚の奥のほうのものを手にしたその時の心理はどんなものだったか、パッケージのどこに心を動かされてその商品を手にしたのか・・・
一朝一夕には難しいですが、考えることを繰り返すことで思考スキルが向上していくことは間違いありません。
参入市場の情報は収集した、顧客のニーズも調査した、それだけでは魅力ある新商品は誕生しません。
それらの情報の意味合い考え、持っている知識と組み合わせて創造的発想をしていくことが必要です。

実際にあった事例を紹介します。
そのメーカーは過去に冷凍コロッケを製造販売しており再開の検討をするにあたって主婦を対象としたヒヤリングを行いました。
昔は肉屋さんの店頭で販売されていましたが今はコンビニ、スーパーでの揚げたてコロッケの販売が主流です。
そこで購入している理由は
1. 家で揚げ物をすると後の片付けが大変。
2. 冷凍コロッケは自分で揚げると爆発しやすい。
3. コンビニで揚げたてのコロッケが簡単に買える。
4. 子供のおやつにちょうどいい。
このような状況では冷凍コロッケの再開は難しいと考えるのが普通です。
または、コンビニ向けに低価格の冷凍コロッケにしたらと考えます。
しかし「4. 子供のおやつにちょうどいい」という意見からコンビニのコロッケは「おやつコロッケ」で夕飯のおかずにはなっていないのではないか?
その理由は「手抜きによる後ろめたさ」にあるのではないかという仮説が生まれました。
直接「コンビニコロッケは料理の手抜きで後ろめたいとおもいますか?」と聞いてみると多くの主婦から「言われてみるとそんなところがある」との答えが返ってきました。
実際に夕飯のおかずにする主婦もいましたが、料理好きの主婦ほど夕飯のおかずにはしていないということがわかりました。
「手抜きによる後ろめたさ」は主婦の回答には出てきませんでしたが当人が気が付かない潜在意識には存在していたのです。
低価格の冷凍コロッケをつくるか、夕飯のおかずになる高級冷凍コロッケを作るか、皆さんならどちらを選択しますか?
後者を選択して、どのようなコロッケなら魅力的で夕飯のおかずになるかを考えてつくりだすこと、それが独自性のある差別化されたお客様に買ってもらえる商品になるのではないでしょうか?

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