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千疋屋のオレンジゼリー

母の日ということで、昨日千疋屋のオレンジゼリーを買って実家に行ってきました。

千疋屋は創業1834年の千疋屋総本店からのれん分けした京橋千疋屋と銀座千疋屋の三店があり、今回のオレンジゼリーはエキュート品川にある京橋千疋屋で購入したものです。

東京に住んでいても三つの千疋屋があるということを知っている人は少ないのではないでしょうか。ともかく「千疋屋」というだけで高級果実を連想させる強いブランド力があります。

私も過去に何回か食べたことがありますが、千疋屋の果物、スイーツを日常的に口にする人は多くなく、高級さゆえの贈答用などハレの時の商品として利用されることが多いはず。この商品も例外ではなく(何しろ一ケ630円)芸能人御用達商品とも言われています。

この商品は写真のようにオレンジの上部をカットし、蓋と本体にわけて蓋はそのまま、本体の方は中身をくりぬきそれを使って作ったゼリーを本体に戻して詰めるという、確かに手間がかかっている商品ですが、「千疋屋」というブランドがなければ、これだけ高い価格で売れる商品にはなっていないことも確かです。

贈答市場においては、高級感、高価格品という話題性が購入動機になることが多く、私の場合も「おいしいものを母に食べさせたい」というより、家族間での話題作り、母に高級品を食べさせたという自己満足によるところが大きかったのです。

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初めて知ったこのシールの存在。

柑橘類の香りのほとんどは外皮にオイル状で存在しており、絞るという行為よって新鮮なオレンジの香りを持った果汁がゼリーのおいしさを高めるとというとても理にかなった情報提供に納得。

 

 

 

 

特定保健用食品 キリン メッツ コーラ

テレビCFで知って「キリン メッツ コーラ」買ってみました。

日本の清涼飲料市場において「コカコーラ」が確たる地位を保ちコーラ飲料というカテゴリーを作っています。 そして、ビール各社はコーラカテゴリーに対して各社各様のマーケティング戦略を取っています。
サントリー社は「ペプシコーラ」の米国ペプシコ社と提携して「ペプシコーラ」、アサヒビール社はグループのアサヒ飲料社から、素材の差別化をした「グリーンコーラ」、ロングセラーブランド「ウィルキンソン」のラインエクステンションである「ウィルキンソン コーラ」を相次いで市場導入し、そして今回キリンビール社がキリンビバレッジ社から特定保険食品という機能差別化のコーラを市場に導入してきました。

戦略の基本的な理屈は共通しています。 コーラ飲料は消費者によく飲まれている、現在飲まれているコーラ飲料からのブランドスイッチを図り、自社の利益につなげたいというものです。 現在人気のある、話題になっている商品カテゴリーに新商品を投入するのはマーケティング施策の常套手段です。 しかしながら、「ペプシコーラ」は善戦しているとはいえまだまだコカコーラとは市場シェアで大きな差がありますし、「グリーンコーラ」「ウィルキンソンコーラ」は早くも姿を消しています。

コーラカテゴリーに新商品が育たないのはなぜでしょう。 一番大きな理由は「コカコーラ」の持つ薬くさい独特な味わいにあるのではないかと思います。 最初違和感、抵抗感を持つ味わいのことを「Aquierd Taste(-慣れることでおいしさを感じる味わい)」と言いますが、 このような味わいはとっつきは悪いものの、慣れておいしさを感じるとその味にハマル傾向が強いものです。 1980年代にコカコーラで「ダイエットコーク」を新発売し消費者の支持を得られなかったのも、消費者がこれまでの「コカコーラ」の味覚体験を基準に新商品を評価(これはコカコーラではない!)したからに他なりません。

長い年月をかけて作られてきた日本人の「コカコーラ」の味への慣れを短期間で崩すのは簡単なことではありません。 各社新商品投入の際には「コカコーラ」も含め既存ブランドとの味覚テストはしているはずです。 対象となった消費者は客観的に「おいしい」「まずい」を判断するでしょうし、そして新発売となれば「新商品」という理由でトライアルユースは期待できます。 しかしリピートユースとなると味に慣れのある「コカコーラ」になってしまう消費が多いのではないでしょうか。

話を「キリン メッツ コーラ」に戻しましょう。 健康志向の高まりから「食事の際に脂肪の吸収を抑える」特定保健用食品であることに魅力を感じる消費者は多いはずです。 「健康にいい」と言う価値が「コカコーラへの味への慣れ」を超えるものかどうかが、そのような消費者がどのくらいいるかがポイントになって来ます。

ちなみに私の場合、糖類以外の甘味料の味に敏感で受け付けないため、リピートユースはやはり「コカコーラ」にります。

カフェインレス ワンダ アイムフリー

先月アサヒ飲料社からカフェインレス缶コーヒー「ワンダ アイムフリー ブラック」「ワンダ アイムフリー ラテ」が発売されました。 早速両方飲んでみましたが、カフェインレスということでこれまでの缶コーヒーと違ってコクがないのではという心配とは裏腹に両商品それぞれのおいしさを感じました。

今回の商品を知って興味を持った点があります。 それは「アイムフリー」というネーミングに象徴される商品コンセプトです。

ニュースリリースでは以下のように書かれています。

ネーミングは、商品特長の「カフェインレス」であること、「あらゆるシーンで飲用できる缶コーヒーの新スタイル」であることを“フリー”という言葉を使って表現しました。(アサヒ飲料ニュースリリースより引用)

アサヒ飲料社は飲用シーンを訴求した「朝専用 ワンダ モーニングショット」で大成功を収めていますが、今回は飲用シーンを限定していません。
「ワンダ モーニングショット」は朝専用と差別化して朝の飲用市場だけをターゲットにしたわけではなく、差別化でトライアルユースを促進して朝以外の飲用シーンでリピート飲用されるようになったことが成功した理由だと思います。 その成功事例を応用すれば「夜専用 ワンダ ナイトショット」はなかったのでしょうか。

私の周りでも「興奮して眠れないと困るからコーヒーは夜は飲まない」という声が良く聞かれます。 そのようなターゲットに対して「夜でも安心して飲める」というベネフィットは存在しますので、 カフェインレスという機能面でのエビデンス(裏付け)があるのですから、そのベネフィットはより強化され競合品と比べての明確な差別化になるはずです。
そしてモーニングショットと同じようにトライアルでおいしさを感じればリピートに繋がり夜以外でも飲む消費者は多くなるのでは。

アサヒ飲料社の開発担当者の間でこのような考えがないはずはなく、別の理由で今の商品コンセプトになっていると思いますが、ニュースリリースでは残念ながらそれが判りません。

事実はともかく、他社の新商品が出たときに「自分ならこう考える、こうする」という意見を社内で交わすことも新製品・新商品開発にとってはとても大事なことではないでしょうか。

ノンアルコールビールの差別化競争

これからの季節、さらにビールがおいしくなります。

そして市場自体はまだまだ小さいもののビールの代替飲料としてノンアルコールビールの伸びが目覚ましいようです。
「ノンアルコールビール」とはアルコールを含まないビールのことであるが今はアルコール度数1%未満のものを含めて「ビールテイスト飲料」と呼んでいます。
ご存知の方も多いと思いますが、アルコール度数1%未満の飲料は酒類にはならず清涼飲料になります。 そのため酒税もかからないし、酒類の販売免許を持たない店舗でも販売が出来るのです。

ノンアルコールビールのブームは2003年の道路交通法改正に伴い飲酒運転罰則強化されたことが契機になっています。 それまでも輸入、国産を含めビールテイスト飲料は国内で販売されていたが大手ビール4社では販売していませんでした。

道路交通法の改正を翌年に控えた2002年の11月にサントリー社が「サントリー ファインブリュー」で市場参入し、12月にはサッポロビール社が「サッポロ スーパークリア」翌2003年5月にキリンビール社が「キリン モルトスカッシュ」で追随、 この3商品のアルコール度数は0.5%となぜか横並びとなっていましたが、最後発でアサヒビール社が11月にアルコール度数0.1%と差別化した「アサヒ ポイントワン」で参入し大手ビール4社のビールテイスト飲料の差別化競争が始ままりました。
この時点での各社の訴求ポイントは「味わいはビールに近くアルコールが1%未満のビール代替飲料」という点では共通していました。
本年は「飲んでも酒気帯びにならない」というところにあったことは開発経緯から明らかですが「きちんと量を守れば法律違反にはなりません」とは訴求できないようですね。 法律違反にはならなくても個人差によって酔った時の状態は異なるわけで飲むことで事故に繋がる可能性が高くなります。

この頃私はアサヒビールグループのインターネット管理運営会社に籍を置いておいていたのですが、開発担当者が発売直前の「アサヒ ポイントワン」を私のところに持ってきました。 彼はウイスキーの新製品・新商品開発もしていたことがあって古くからよく知っている後輩になるのですが、そのような関係もあって商品を見るなり唐突に「ゼロなら良かったのに」と言いました。 彼もそれは十分承知していて「アルコールを限りなくゼロに近づければ近づけるほどこれまでのビールとは味が離れてしまうので試行錯誤の結果0.1にしました」という答えが返ってきました。
「ポイントワン」というネーミングは先行競合品との差別化を考えてのことだと思いますが「私はほとんど嘘はつきません」と「私は絶対嘘はつきません」の違いと同じで、消費者が抱く印象は全く異なり差別化としては雲泥の差となります。 わずか0.1%しかアルコールが入っていなくても「酔わないビール」「飲んでも車の運転ができます」などの訴求ができないわけです。 もちろん彼を責めたわけではなく、アサヒビールほどの技術力がありながら先行競合品から約1年の歳月を費やして開発した商品ですので、その時点では最善の策だったと思います。 アルコール0.1%と言う差別化が功を奏したかどうかは定かではありません。

各社がテレビ宣伝も行い、話題にもなったため市場全体で250万ケースになりましたが、アルコールが微量でも入っているということから本来の「酔わない」という商品コンセプトを訴求できず、その後横ばいからやや衰退の流れとなって行きました。

2009年4月にキリンビール社がアルコール分0%の「キリン フリー」を新発売して話題となり、9月にアサヒビール社が「アサヒ ポイントゼロ」を新発売、9月にサッポロビール社が「サッポロ スーパークリア」のリニューアル、翌年4月にサントリー社が「サントリー ファインゼロ」を新発売しました。 「キリン フリー」「アサヒ ポイントゼロ」「サントリー ファインゼロ」の商品コンセプトは従来と同じ「味わいがビールに近くアルコール分ゼロ」でしたがここでは「サッポロ スーパークリア」が差別化を仕掛けています。

「サッポロ スーパークリア」は広報リリースで「中味は、麦芽エキスを最適な比率で配合することで雑味を低減し、商品名の通り、一層“スーパークリア”な爽快な味わいに仕上げました。さらに、お客様の健康志向が高まるなか、従来品より糖質をおさえ、カロリーも100mlあたり6キロカロリーと約37%オフ。いろいろな食事にも安心して合わせてお楽しみいただけます」「原材料 水溶性食物繊維、糖類(水飴、果糖ぶどう糖液糖)、麦芽エキス、香料、カラメル色素、酸味料、酸化防止剤(ビタミンC)」 となっています。
アルコールは他の3ブランドと同じゼロですが、原料はこれまでのビールで使われてきた麦芽、ホップを使用しないことで新しい味わいを訴求し、それに加え抵糖質、低カロリー、食物繊維といった機能性の訴求で差別化をしています。

「サッポロ スーパークリア」の差別化が功を奏したかは定かではありませんが「アルコールゼロ ビールテイスト飲料」カテゴリーは2009年約500万ケース、2010年約1,000万ケースと大きな伸びを示すことになります。

これで差別化競争は終わったわけでなく、今もなお続いています。

キリンビール社は2010年4月に「キリン 休む日のAlc0.00%」。 しじみに多く含まれる成分「回復系アミノ酸オルニチン」を400mgを含むビールを楽しむ感覚の休肝ノンアルコール飲料。

サントリー社は2010年8月に「サントリー オールフリー」。 「アルコール度数 0.00%」「カロリーゼロ」さらに「糖質ゼロ」。

アサヒビール社は2010年8月に「アサヒ ダブルゼロ」。 「アルコールゼロ」に加え「カロリーゼロ」。

サッポロビール社は2011年3月に「サッポロ プレミアムアルコールフリー」 この商品は上記3ブランドのような機能性訴求はありませんが、前述の「サッポロ スーパークリア」と全く逆に麦芽、ホップの使用によるビールにより近い味わいを訴求している点が特徴。

このようにビール各社は知恵を絞り、技術力を駆使して独自性を打ち出した商品を市場に導入してます。

「ソウルマッコリ」「ごまリッチ」ヒットの要因

日本経済新聞社の2011年上期の日経MJヒット商品番付にサントリーの「ソウルマッコリ」とミツカンの「ごまリッチ」が上位にランクされました。

ヒットの要因がソウルマッコリは「コト」の魅力、ごまリッチは「モノ」の魅力となっており非常に対照的です。

 

ソウルマッコリのコマーシャルを見た方も多いと思いますが、韓国の人気俳優であるチャン・グンソクを使ったテレビコマーシャルがヒットの要因に他なりません。 他の酒類、他のマッコリとの品質、味わいといった商品差別化はほとんどない、というかサントリー社にあっても消費者にはほとんどありません。 私の周りでもマッコリとはどのようなものかは知らず「チャン・グンソクがコマーシャルしている『ソウルマッコリ』を飲んでみたい」という女性が多くいました。 チャン・グンソクが視聴者に語りかけるコマーシャルは多くの女性の心を捉え、ソウルマッコリを飲むことでのチャン・グンソクとの繋がる世界(コト)の提案でニーズを作り出しています。 コマーシャルには注目度を高めるためにタレントを使うことが多くありますが、タレントの使い方という点で非常に上手なコマーシャルと言えます。 トライアルユースの促進でヒット商品となった典型的事例ですが、どこがつくろうと、どんなおいしさであろうと関係なく、すなわち商品の魅力でヒットしたわけではないのでリピートユースに繋がるか、また他社がソウルマッコリに追随して今以上にマッコリブームがおこり市場が拡大するかは今の時点では疑問です。
ヒット商品の一つの成功事例ですがどこでもが真似の出来るマーケティングではありませんね。

一方ごまリッチは商品(モノ)差別化での成果と言えます。 「胡麻(ごま)」に対する健康イメージの高さをうまく利用してこれまでの「ふりかけ」との差別化が一番の成功要因ではないでしょうか。 絶妙な差別化がされています。 健康イメージの高い素材は色々ありますが、全く新規の素材を使えば消費者は警戒感を持ちかねません。 これまで使われていた素材の割合を変えることで商品の魅力を高め、商品名を「ごまリッチ」として商品特徴を訴求するという素晴らしいアイデアだと思います。
ミツカン社は成功の要因として「ごま塩の味の物足りなさと寂しい外観が製品化の課題となっていたが、鮭や梅、明太子といった素材をごまにパウダーコーティングすることで、「ごま」を主役としながらも、ごはんに良く合い、彩りも華やかなふりかけとして『ごまリッチ』が誕生」としています。

食べるラー油のヒットから学ぶ新製品・新商品開発のヒント

雑誌、サイト、ブログなどで「辛口ブーム」「内食の増加」「ネーミングの妙」など「食べるラー油がヒットした理由」が色々紹介されています。

ここでは、新製品・新商品開発に関係している一人として「ヒットした理由」という視点ではなく「何故このようなヒット商品が誕生したのか」という視点で考察した結果を書いて見ようと思います。

今回のようなラー油は中国では家庭でよく作られているそうで、 中国人の方が今から10年前ぐらいに石垣島に移り住み食堂を開き中国の自分の家庭で作っていたラー油を提供し、そのラー油の具材に島とうがらしなど地元の食材を使用したこともあって観光客に「石垣島みやげ」として人気が出ていました。 テレビで紹介されたりブログに取り上げられたりで徐々に多くの人に知られるようになりましたが、 この時点では野菜炒めなどのかけて食べるという調味料だったようです。

普通このような状況(一部で大きな話題にはなっていてもたくさん売れていない)で大手企業が参入することはまず考えられません。 これまで餃子をつけるのが主たる需要のラー油に「辛そうで辛くない少し辛いラー油」という名前をつけ、より大きいサイズの商品を発売しても売れるとは思えません。

結論が先になりますが「食べるラー油」はご飯にかけて食べる、つまり「このラー油をご飯にかけるとご飯がおいしく食べられますよ」という提案が消費者に受け入れられた結果ではないでしょうか。

潜在ニーズの開発です。 潜在ニーズというと心の奥底に潜んでいるニーズであり消費者が持っているものと思いがちですが、マーケティングでは「消費者ニーズとは生まれる可能性があるもので持っているものでは無い」という考えがあります。

桃屋社はご飯に乗せる食材の開発、製造、販売をしておりその分野での消費者動向の把握、チャネル対応、製造設備など十分な資源、つまり今回の商品に関しても会社としての強みがあったはずです。 その背景に基づく問題意識で消費動向、消費者行動を観察していたからこそ、それらの変化をいち早く捉える事が出来たのでしょう。 そして「食べるラー油」というコンセプトにすることで調味料であったラー油を自社の事業分野に持ち込み自社の強みを生かした新製品・新商品開発を進めました。

新発売後、予想を上回る人気となり品切れとなりますが、その時の品切れの謝罪広告がブームに更に拍車をかける結果になっています。 品切れはまさに怪我の功名だったのでしょう。 また、エスビー食品社などの追随が市場全体の盛り上がりを作り出してくれることにもなりました。

会社の強みがあって、それを背景にした問題意識が消費者の変化を捉え、自社の分野へ持ち込むコンセプトの開発をし、自社の強みを生かした魅力的な商品を作り出し、それに加え、品切れでブームに拍車がかかり、他社の追随で市場全体が盛り上がることで大ヒットになったと思います。

新製品・新商品開発で必要なものは「会社の強み」と「問題意識」と「創造力」 そして大ヒットするためには「時の運」が必要です。

【余談】 何故「ご飯にかける」という提案が生まれたのでしょうか? 消費者調査で判るとは思えないし、何故そのようなアイデアが生まれたのか色々調べてみました。

日本橋にある桃屋社の近くに10年前ぐらいから同じようなラー油を作ってお客様にサービスをしている中華料理店があり、何年か前からそのラー油をチャーハンやご飯にかけるお客様が増えてきていていたそうです。 近くの桃屋社の社員の人も出入りをしていてそのような状況を目にしていた可能性は考えられます。 推測にすぎませんがが、もしそうだとしたら「江戸むらさき」などご飯に乗せる商品の専門家である桃屋社だから、石垣島ラー油のブームと新製品・新商品開発の方向性がそこで結びついたとしても不思議ではありません。

そう言えば以前会社勤めしている時の話ですが、昼食で中華に行くと必ずチャーハンを注文してカウンターにある小さなスプーンのついたツボのような小さなガラス瓶に入った刻み唐辛子入りラー油をたっぷりかけて食べる部下がいました。 その分野の新製品・新商品開発はしていなかったので「エネルギッシュな奴だな」という感心だけでラー油をご飯にかける商品化のアイデアは思いつきませんでした。

生かりんとう???

最近生カステラ、生チーズケーキ、生ドーナッツといった「柔らかい」「もちもち」とした食感の洋菓子が人気になっています。

札幌の洋菓子店が昨年末に「生かりんとう」専門ショップをオープンしました。 写真で見るように店舗はドーナツショップそのものだし、パッケージも洋風。 競合品はドーナツなのだろうが、敢えて別カテゴリーの商品名をネーミングにしている点がおもしろいですね。

そこでドーナツとかりんとうの違いを調べてみました。 どちらも主原料は小麦(ここで紹介している「生かりんとう」は小麦の代わりにもち米を使用)、それに食塩を加え、イーストや重曹で膨らませたものを油で揚げる点は同じ。 違いと言えば、ドーナッツにはその他の原料として卵、牛乳が加わり、かりんとうは揚げた後に乾燥させて保存性を高めている点です。

この「生かりんとう」はもち米を主原料として卵、牛乳を使っていないスティック状の「ドーナツ」で、乾燥させていない「かりんとう」です。 となると商品のネーミングは「もち米ドーナッツ」「スティックドーナツ」、もちもち感が強ければ「生ドーナツ」でもいいことになるわけです。 卵も牛乳も使っていない「もち米ドーナッツ」であれば食物アレルギーのお子さんのおやつとしてニーズがあるし、「スティックドーナツ」であればかぶりつかなくていい食べやすいドーナッツとしてニーズがあるのではないかと思います。 しかしネーミングを「ドーナツ」ではなく「かりんとう」にした点がおもしろい。

すごく「新規性」を伝えるネーミングで、それゆえにお客様が商品に気づきやすく強く興味を持ち「買ってみようかな」という気持ちにさせられる消費者もおおいのではないでしょうか。 また「新規性」ゆえの話題性もあります。 現にサイトを見てみるとテレビ局、雑誌の取材も結構あるようで、間違いなくトライアルユースを促進しているはず。 「生ドーナツ」と言うネーミングではこのようなことにはなりにくでしょね。

食品の場合いくら価値があっても(この場合おいしさ)食べてもらわなくてはそれを伝えることが出来ず、その後のリピートユースにも繋がらないのでその意味では素晴らしいネーミングだと思います。

商品の「新規性」はこのようなメリットがある一方、やみくもに「新規性」だけを追求した商品はお客様にその商品に対する「警戒感」を与えてしまうというデメリットがあります。 店舗構え、パッケージで「ドーナツ」らしさを打ち出すことで警戒感を緩和しているかも知れません。

後は「生かりんとう」というネーミングからお客様が抱く期待と実際の味わいがマッチしているか、他のドーナツとの差別化が伝わるかがこの商品が継続的に売れるか売れないかのポイントではないでしょうか。

キリンラガー桜缶

昨日の夕食のテーブルに「キリンラガー桜缶」が乗っていました。 アサヒビールに籍を置いたことがある私ですが、ビール好きの女房がスーパードライよりラガーの方が好きだと言うので我が家の定番ビールは「キリンのラガー」です。

アサヒビールの皆さん、ごめんなさい、「おいしさ」って主観的なものですのでお許しください。

ネットスーパーで「キリンラガー」を注文したらたまたま桜缶が届いたというだけで、桜缶を選んで買ったわけではないようです。 缶を開けながら「これってどういう意味があるんだろう。中身は同じなんだから他の銘柄を飲んでいる人は買わないだろうし、味が違うなら飲んでみようと思うけど」とつぶやくと「これは季節限定なのよ」と答えた女房の横で娘が「お花見の時にコンビニでビールを買うことになったらこれを買うな」と話に入ってきました。 そうそう、ちなみにアルコールに極めて弱い娘は「これが一番おいしい」と言って「アサヒのダブルセロ」を飲んでいます。

娘の話を聞いて「そうか」と我に返りました。 「モノ」の提案ではなく「コト」の提案商品だとあらためて教えてもらったのです。 食事中であることとあまり深く考えていない会話だったことを差し引いてもマーケッターとして不覚でした。 食事が終わってサイトで調べたところ、キリンビールのニュースリリースには下記のように書かれていました。

広告では、菅原文太さん、江口洋介さんに登場いただき、お花見のシーンで仲間と一緒に「キリンラガービール」を楽しむ新テレビCMを放映します。(中略)今回、味覚特長である“のどにグッとくる刺激感”“コク・飲みごたえのある味わい”はそのままに、お花見を楽しむ桜のデザインという新たな価値を提案することで、春のうれしい乾杯シーンを盛り上げます。

「おいしさ」を楽しんでもらう「モノ」としての桜缶ではなく、桜缶はそれを飲むことで「楽しみ」という「コト」を提供する商品だったのですね。 ちなみにアサヒビールも「スーパードライ」をはじめとしたいくつかのブランドで発売中あるいは近日発売予定だそうですが、 商品コンセプトは全く同じです。

ヤマサ醤油「鮮度の一滴」

お使いの方も多いと思いますが、昨年の日経トレンディのヒット商品番付で16位に入ったヤマサ醤油の「鮮度の一滴」。

ヤマサ醤油にいる私の友人が開発した商品で、鮮度を長持ちできる特殊構造の容器を採用した醤油で中身はこれまでの醤油と何ら変わりはありません。 ガラス瓶やペットボトルに入った醤油は一度開栓すると酸化して鮮度が落ちてしまうので「いつまでもおいしい醤油を楽しんで欲しい」という目的で開発された新商品。

新製品・新商品開発としては二つの点でとても参考になります。 一つ目は中身はそのまま、容器を変えることでヒット商品にした点。 二つ目は自社商品を否定して顧客への提供価値を高め、新しい消費者ニーズをつくった点。 普通は「これまでの醤油をどう説明するんだ」「これまでの醤油とカニバリするだけ」と言う意見、理屈が社内で出て発売は難しいものですが、ヤマサ醤油はそれをやりました。

二点目はなかなか出来ることではありません。 ちょっとひねくれて考えると、トップメーカーではなかったからかもしれないのですが。

友人に聞いてみたところやはり社内を通すのが一番苦労したと言ってたが、最終的に「GO」の決裁が出てヒット商品に。

こういう会社は伸びる会社です。