投稿者「ogawa109」のアーカイブ

消費者の健康志向にこたえる商品を

高齢化に伴う健康志向から健康食品が注目されてきています。
一昨年の内閣府消費者委員会の調査では、約6割の消費者が利用し50代以上の約3割がほぼ毎日利用しているという結果が出ています。
健康食品の市場規模は約2兆円に達していると言われています。

日本の法律では、人間が口に入れるものは「医薬品」と「食品」に分けられており、「健康食品」はその名の通り「食品」でしかありません。
健康食品には国の制度によって審査、許可された「特定保健用食品(トクホ)」、成分の効果をうたえる「栄養機能食品」は機能性の訴求は出来ますが、その他の健康食品は一切機能性の訴求は出来ません。

農林水産省による「機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」がスタートするなど、素材の機能性研究が本格的に始まってきていますし、本年度には政府の成長戦略の一環で、健康食品の表示規制緩和が解禁されようとしています。
このような背景から、健康食品はこれからますます市場を賑わせ、拡大していくのではないでしょうか。

今の時代、健康維持、増進は消費者にとって大きな価値です。
通常食品を提供してきている食品メーカーにおいても消費者の健康につながる商品の開発は必要になってきます。
これまでもビタミンやミネラルなど過去に「健康にいい」とされる素材を強化した商品はありますが、多くの場合売上げを上げるための手段として行われてきた面が強いと思います。
これからは、手段ではなく消費者の健康を目的とした商品を追求していくことになるのではないでしょうか。

後天的な味覚「アクワイアード テイスト」

あまり聞きなれないと思いますが、「アクワイアード テイスト」という言葉があります。
英語で書くと「Acquired_taste」です。
最初は不快感を感じても、何回か口にするにしたがって「おいしさ」を感じ、クセになる味わいとでも言うのでしょうか。

コーヒー、ビール、ウイスキー、チーズ、納豆、コーラ、からし、燻製・・・ などなど数え上げればきりがないほどです。 「苦味」「酸味」「辛み」「臭み」という成分を持った食品の味覚を「アクワイアード テイスト」と言います。

ウイスキーを最初に飲んで「おいしい」と思った人は何人いるのでしょう。
多くの人は、最初「おいしくない」と思っても、しみじみじっくりウイスキーを飲むことのかっこよさ、大人の世界へステージアップに憧れて飲み続けていくうちにその味わいが好きになり、いつの間にかウイスキー通になっていったのではないでしょうか。
「アクワイアード テイスト」を受け入れるようになるためには情報の質と摂取回数、この二つが大きく影響します。

同じ酒類で、甘みがあってフルーツの香りがするサワーがありますが、こちらは「アクワイアード テイスト」と逆でとっつきやすい味覚です。
そのため新発売時には人気がありますが、とっつきやすい分飽きやすいため、メーカー各社は手を変え品を変え新商品を市場に導入しなくてはなりません。

「アクワイアード テイスト」の商品がロングセラーになりますが、だからと言って簡単に商品化しては失敗します。
味わいにどのくらいのクセを持たせるかと言う問題と、売れるまでに長い時間がかかるという問題があります。

世間を騒がしている二つのブランド戦略

「聴覚障害の作曲家」と「リケジョの星」、分野こそ音楽と科学ですが、物語をつくることで楽曲、研究成果の話題性を高めることに成功しています。

物語がブランド力を高めることは間違いありません。
特に、これまでには無い物語は話題となりやすく、マスコミが大々的に取り上げ、社会の人々の口コミを誘発し、その結果多くの人の知るところになり、商品の売上げが上がるという成果に繋がります。
後者の研究成果の場合は、研究予算が集まりやすくなるようです。

新製品・新商品開発の世界でその昔、新商品の発表時に女性開発者を前面に出すという広報活動が良くみられました。
今でこそ企業内で女性の活躍の場も広がっていますのでそのようなことは無いと思いますが、当時の新製品・新商品開発を言えば男性が中心の業務で、単にプロジェクトに名前を連ねていただけの女性スタッフをあたかもその女性が開発したかのように広報している企業が結構ありましたね。

しかし、物語はつくるものでなく、何年、何十年のブランドの継続の結果として生まれてくるものではないでしょうか。
またブランドとして社会に認められるには、物語の対象であるモノそのものに価値があり、嘘偽りが無いことが基本ではないでしょうか。

今回の二つの出来事は、話題作りには成功してもブランド構築にはつながらない、ブランド戦略の失敗事例のような気がします。

ペプシコーラの名指しの比較広告

3/1の朝刊の見開き広告で「ペプシNEXT ZERO」の比較広告を見て「ここまでやっていいのか」とさすがにびっくりしました。
その後オリンピックの日本招致決定のシーンを模したテレビ広告も盛んに放映され話題になっていることはご承知の方も多いのではないでしょうか。

大手メーカーであるサントリー社のやることですからきちんと法的な問題はクリアした上での対応とは思いますが、このように競合商品を名指しで比較する手法は日本の大手メーカーほとんどありませんでした。
1997年に、ペプシコ社の日本に於ける事業がサントリー社に譲渡される以前は米国のペプシコ本社主導で同じような比較広告が行われていますが、それすら紆余曲折があって対象商品は「その他のコーラ」、コカコーラの画像にはモザイクをいれたものでした。

1987年から公表されている「比較広告に関するガイドライン」で、以下の三つを満たせば比較広告は違法にならないという方針が出ています。
(1)比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
(2)実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
(3)比較の方法が公正であること

「おいしさ」というのは非常に主観的なものです。
果たして(1)の「主張する内容が客観的に実証されている」要件を満たしているのでしょうか。
実際に3/1の広告の一部に「この勝利は偶然なのか。必然なのか。」というコピーが入っています。
私が今回の広告に違和感を持った理由はこの点なのです。

コカコーラ社がこの広告に対抗して、ブランド名を隠さないで味覚テストを行い「おいしさで、コカコーラZEROが勝利しました」とやったら(可能性は高いでしょう)「客観的に実証されていないので違法」となるのでしょうか。

私は常々「おいしさとは味覚+情報」だと思っています。
味覚だけでは商品が売れないので新製品・新商品開発担当者は苦労しているのではありませんか?

マーケティング論を忘れて街へ出よう

セミナーを受けたり、専門書を読んだりしてマーケティングの勉強をされた方は多いと思いますがそれが役に立っている人はどのくらいいるのでしょう。

私は、マーケティング理論を知っていることに越したことはありませんが、知らなくてもいいと思っています。

マーケティング理論の多くは大手企業の成功事例を後付で論理的に説明していることが多く、特に食品の中堅、中小企業においてはあまり役に立つとは思えません。
それよりも街に出て消費者の購買行動を観察したり、自分が生活者として実際に買い物をしたり料理をして消費者の購買心理を理解することが必要です。

もちろんセミナーや専門書でマーケティングを知るだけでなく、自分なりにその本質を考え、その考えを自社に応用することが出来ればいいのですが、ほとんどの人は知ることに集中して自分の頭で考えるということはしていないのではありませんか。

そしてその弊害は、マーケティングで使われている用語を共通言語のように口にすることです。
皆さんの周りにもそのような人はいませんか?
「マーケティング」「商品コンセプト」「イノベーション」「差別化」等々数え上げればきりがありませんが、これらを口にするだけで問題が解決することはありません。

大事なのは知ることより自分の頭で考えることではないでしょうか。

権威に弱い日本人ゆえの現象?

先日、加工食品中小企業のトップの方から「うちもモンドセレクションに応募して賞を取ろうと思うのだが」と言う相談を受けました。

モンドセレクションの実態を知っている私としてはどう答えていいのか迷いました。
何故なら、応募すれば金賞を取ることは難しくなくラベルにモンドセレクションのメダルを表示することで商品が権威づけされ(実際には消費者がそう錯覚するだけのケースが多いと思うのですが)売上げは上がると思います。
同じような商品が店頭に並んでいる場合には、モンドセレクションの何たるかを知らない多くの消費者はゴールドメダルの表示がある方を選択する可能性が高いのは当然のことです。
中小企業においては効果は大きいと私は思います。

しかし、モンドセレクションの受賞で本当に商品が権威づけされるのでしょうか。
ご存知の方も多いと思いますが、出品商品の格付けは相対評価ではなく絶対評価なため昨年の受賞結果を見ると3200強の出品商品で約2800商品が「Grand Gold Award」「Gold Award」「Silver Award」「Bronze Award」のどれかを取得しているのです。
お金を出して出品し、非常に高い確率で何らかの賞がもらえるのは適切な評価とは言えません。

それを承知で出品する日本の企業の商品は全出品数の5割から7割に達すると言われています。
モンドセレクションの是非を云々するつもりはありませんが、実態は権威に弱い日本の消費者に対しての販促ツールになっています。

しかも受賞した商品を製造販売している企業のホームページを見るとモンドセレクションのメダルを獲得したことで「世界に認められた」と結論づけているところもあります。
消費者の無知に付け込んだ明らかに詐称ではないでしょうか。

私が一番心配しているのは、マーケティング、新製品・新商品開発に携わる皆さんがこのような施策がマーケティングには大事だと誤解してしまうことです。

いつになったら日本に正常な食文化が出来るのでしょう。

見た目は「本物」、中身は「別物」

今週発売された週刊現代に食品のつくり方に関するスクープレポートが掲載されていました。
「安さを追求のためにひどい原料、様々な添加物を使ってコストを下げている」と言う内容で20の食品がやり玉に挙がっています。

一例を上げますと「チューブ入りわさび」は「本物のわさびの分量はごくわずかで、油、加工でんぷんが大半を占める。香料によってわさびの香りをつけ、人工甘味料で甘みを添加する。長期間腐らないのは、添加物が多いため」と書かれています。(週刊現代から原文のまま引用)

この真偽はともあれ「どこが悪いのかな」と言うのが私の正直な感想です。
やり玉に上がった20の食品は食品衛生法で安全と認められている原料、添加物を使用していることは間違いないはずです。
わさびの例で言えば、食品メーカーの研究開発の結果、安価にいつでも手軽においしく刺身が食べられるようになり、消費者がその価値に納得して買っているのでは購入しているのではないでしょうか。

食品業界にも技術革新がありますので、昔のまま、人工的に手を加えていないものが「本物」と決めつけるのはどなのでしょうね。

Caviaroliという商品をご存知ですか?
オリーブオイルをカプセルに詰めた食品で、「世界一レストラン」と言われるスペインにあるエル・ブジ(エル・ブリ)の総料理長フェラン・アドリアが来日した時に人工イクラの製造方法を知って開発したと言われています。
人工イクラはイミテーション商品として評判は良くなく今は見かけませんが、オリーブオイルカプセルは新しい食品として人気があるようです。
サラダ油とオリーブオイルの違いだけの製品が、商品コンセプトを変えることで全く違う商品になりました。

個人的には代替原料を使ったり添加物を使ったりする商品は好きではありません。
今の時代、そのような商品の逆を行く新製品・新商品開発の方が魅力があると思っています。

鉛は磨いても金にならない

食品においては「新商品開発」という言葉が一般的です。
日本語では「製品」と「商品」の概念がありますが英語では明確に区別されていません。
「製品」も「商品」もProduct、「新製品開発」も「新製品・新商品開発」もProduct developmentです。

私は特に食品においては新製品開発と新商品開発は別のものと考えています。
「日本の食品業界」と付け加えた方がいいのかもしれませんが。
そもそも新製品開発を行う部署と新商品開発を行う部署が異なりますし、それぞれの部署のスタッフに要求されるスキル、ノウハウも異なります。

多くの方は、お客様に価値のある製品の開発が必要だと承知はしていても、それが見つからないため新商品開発で魅力的な商品にしようと苦労しています。

価値のある製品でない限り、いくら商品化で努力しても限界があります。
価値のある製品が開発されても、商品化がきちんと出来なければお客様に買ってもらえる商品にはなりませんが。

他の製品より価値のある製品を開発し、その価値に磨きをかけてよりお客様の心を動かすようにすることが製品の商品化であり、その結果が成功する新製品・新商品開発になるものと思います。

新製品・新商品開発における「感性」とは

先週末に青森県主催の「新商品開発力強化支援事業成果報告会」なるものが開催され、出席してきました。

その会の後半に「デザイン産学官連携プログラム~大学生の感性を活用したデザイン支援~成果報告」というプログラムがあり、弘前大学の人文学部、教育学部の学生10チームによる報告がありました。
内容は青森県の工芸品を題材とした商品・デザイン企画」ですが、すでに市販されている商品ですのでそれらをどのようなパッケージ入れ、どのような販売促進を行うかというものでした。

報告の内容はともかく、タイトルにある「大学生の感性を活用」と言う点が気になりました。
若い人が持っているであろう(大人には持ちえない)物事の感じ方から新しい発想が生まれることを期待してのことでしょう。
企業でも学生に新商品開発に参加してもらうケースがありますが、その場における学生の価値観の違いが参考にはなって新商品開発に生かすことは出来ても、実際に学生が新商品開発まで行うのは無理があると思います。

この機会に「感性」の意味をあらためて調べてみましたが、正直なところ明確な意味の違いはわかりませんでした。
私は、「理性」は論理的思考で心が動くこと、「感性」は感覚的に心が動くことだと思っています。

消費者の「理性」と「感性」の両方に訴えるものでないと商品は買ってもらえません。
買ってもらえる商品をつくる新商品開発をするには、新製品開発レベルでは「理性」を働かせる必要性が高く、商品化レベルでは「感性」を働かせる必要性が高くなるのではないかと思います。

もちろん、「理性」「感性」の両方を兼ね備えて新製品・新商品開発にあたることが出来ればそれに越したことはありませんね。

高価格であること、それ自体が価値

消費者は高価格商品に対して価値を感じます。
価値を期待すると言った方が正確かもしれません。
食品の場合は「高かろうおいしかろう、安かろうまずかろう」という言葉をよく聞きますね。

例えば一つ120円のシュークリームと200円のシュークリームがあった場合、
「高い方がおいしいとは思うけど・・・」と120円のシュークリームを購入する消費者もいれば
「高い方がおいしいはずだから」と200円のシュークリームを購入する消費者もいます。

昨今の食品市場では後者の購買心理が台頭していることを証明する事例が多くみられます。
高価格であること自体が価値を訴求して、それを受け入れる消費者が増えてきています。

デフレと言われた経済環境の中では「良い商品をより安く」という方針でモノづくりが行われてきましたが、今は「適正価格でより良い商品を」という方針のモノづくりが通用するようになってきているのではないでしょうか。

「どうやってコストを下げるか」ではなく、「どうやって消費者に認めてもらえる価値をつくり出すか」という発想の転換が必要になってきます。