投稿者「ogawa109」のアーカイブ

「おいしさ」はお客様とっての好ましい情報が決める

日本における食品はすべて味わいの良いものばかり。
「こんなまずいものなぜ売っているの」と思うシーンは無いのでは無いでしょうか?
生産者から加工メーカーまでおいしさ競争をしている、でも優秀な商品ばかりなので優劣を付け難い状態です。

そのような状況で同じカテゴリー商品で何故売れたり売れなかったりするのでしょう。
「うちの商品はおいしさのになぜ売れないのだろう」という声もよく聞かれます。
その答えは、どこもおいしいものをつくる努力をしていてお客様が口にしただけでは好みの違いはあっても優劣が付けられない、味わいそのものでなくプラスαの要素でお客様は「おいしさ」を決めるのです。

プラスαの要素にはいくつかあり業種によっても多少異なりますが、最も影響するのはその商品がどのようなものであるかを伝えるお客様にとっての「好ましい情報」です。
パッケージ、POP、広告に使うキャッチコピー、文言と言ってもいいでしょう。

具体的事例をいくつか紹介します。
以前高級ブランドおせちでバナエイエビを使っていながら車エビ使用という食品偽装事件がありましたが、「車エビ使用とした方がお客様においしいと思ってもらえる」との下心から起こった事件です。(ちなみに購入者から「エビの味がおかしい」という苦情はありませんでした)
最近スーパーなどに並ぶ苺に糖度表示がありますが、多くのお客様が「糖度の高い苺ほど甘くておいしい」と思って購入してくれるから。(「味が濃い」は通用しない?)
豆腐に「国産大豆使用」と書かれたものがありますが、「輸入大豆でつくった豆腐より国産大豆でつくった豆腐の方がおいしい」と思うお客様が多いから。

お客様は情報で心を動かされ、味わいに大きな差がない商品群の中から特定の自分がおいしいと思った商品を選択します。

新製品・新商品開発で「おいしそう」をつくる

新製品・新商品開発とは「顧客に買ってもらえる商品をつくること」。
そのためには何をしたらいいのでしょう。

健康食品などの一部の商品を除いて食品における基本的価値は「おいしさ」です。
しかし、現在の日本において、おいしい商品は市場に溢れかえっています。
「おいしい」だけでは新商品は買ってもらえません。
消費者が「おいしそう」と思い、心を動かされ、手にする商品でなくてはなりません。

消費者は意識的、無意識であれ「違い」を根拠に商品を選んでいるのですが、その違いが判らなければ選択に迷い、これまでの商品を飲み、食べ続けることになり、その結果、新商品はヒット商品にはなりません。

食品の「おいしさ」は電気信号として脳に伝わり、脳に蓄積されたそれまでの味覚経験などの情報を参照して「おいしい、まずい」の判定をするという主観的なものです。
「おいしそう」と思ってもらえる情報を事前に提供し脳に蓄積してもらうことで「おいしさ」は向上します。
「この商品はこんないい商品でこの商品を買えばこんないい気分、おいしさが楽しめますよ」という価値のある情報を提供ことが必要になります。

出来上がった新商品を前に「何を伝えたらいいか」と考えることはキャッチコピーや広告の検討時によく行われることですがそれだけでは十分ではありません。
新製品開発段階(ものづくり)で新しい原材料、加工方法など消費者が価値があると認識している要素を新たに取り込みそれを情報として発信します。
このような機能的価値の他に「おいしそう」につながる情緒的価値として、老舗、期間限定、カテゴリーのトップブランド、パッケージデザイン、ネーミング等々多くの情報があります。

売れている商品には「私を買うと何かいいことがありますよ」というアピールがあります。
これまで多くの新製品・新商品開発に携わってきましたが、これがあるかなないかで大小はありますがヒットする確率は大きく変わります。
中にはどう考えてもアピールのしようがない場合があることもありますが。

「おいしそう」を見つけること、つくることは食品の新製品・新商品開発ではとても大切なことです。

上記内容に関しましては毎月実施している当事務所開催の「食品新製品・新商品開発 実践セミナー」で具体的事例を交えてさらに詳しい内容をお伝えしています。
ご興味のある方は是非ご参加ください。

食品新製品・新商品開発における差別化と独自性

ヒット商品につながる新製品・新商品開発においては差別化(Differentiation)、独自性(Uniqueness)が必要になることは皆さん十分ご承知のことと思います。

私も新製品・新商品開発のアドバイスの時に「差別化をしましょう」「独自性をつくりましょう」などとよく使う言葉ですがこの二つの言葉の違いを考えたことがありますか?

「差別化」という言葉は比較対象がある場合よく使う言葉で競合他社商品、自社既存商品と比べた場合の違いをつくりだすことを意味しています。
その結果、比較対象商品を研究して味、香り、ネーミング、パッケージ等に違いを出すにはどうしたらいいかを考えることに重きを置きますので、最終的にこれまでと大きく違った価値をつくることは難しくなります。

一方「独自性」という言葉の場合比較対象は無く、自社の資源、能力などの強みを生かしたり、消費者の潜在ニーズを見つけ出して新製品・新商品の開発にあたるケースが多くなります。
その結果、これまでとは違った価値のある商品が生まれる可能性が高くなるのではないかと思います。

私には納豆が大好きな3歳になる孫娘がいて、夕食の時にはご飯を食べずに納豆だけを食べるほどです。
何故「納豆グミ」という商品がないのでしょうか?
乾燥納豆はおやつとして何社かから発売されているようですが。

企業にいると固定概念を持ってしまいがちになりますが「グミは甘くてすっぱくてフルーツのあじがするもの」という意識から抜けのではないでしょうか?
競合企業の商品との差別化は日々行っているのでしょうが、それゆえに発想の限界があるのかもしれません。

成人のグミユーザーにとってはグミとはどういうものかという情報が頭の中にあるので「納豆のグミ?気持ち悪い」と思う人は多いと思います。
しかしターゲットを幼児とした場合、幼児はまだ味覚体験が極めて少ないこともあって受け入れる可能性は高いと思われます。
実際に幼児を持つ主婦何人かに聞いたところ「自分は食べないけど子供は喜んでたべそう」「甘いものを控えたいのでいいかも」「栄養もあるしおやつにいい」このような意見でとても肯定的でした。
独自性のあるヒット商品になるかもしれませんね。

差別化と独自性の違いを説明するために一つ事例として取り上げましたが、製造方法など全く考慮していない無責任な考察であることご承知おきください。

商品コンセプトのつくり方

新製品・新商品開発にあたっては「商品コンセプト」の作成が欠かせません。
「今度の新商品のコンセプトはどんなものにするか」「この商品のコンセプトは斬新でいい」「この商品はコンセプトが解らない」このような使われ方をします。

「商品コンセプト」と英語が入る事で捉えどころがないと感じる方も多いようですが、日本語にすると「商品の意図」「商品の構想」になります。
少し理解しやすくなったのではないでしょうか?

何故、商品コンセプトが必要なのでしょうか?
その理由は、新製品・新商品開発は多くの人が参画する共同作業で行われるからです。
食品においては、原材料の選択、調達に始まり、調理、加工方法、パッケージデザイン、ネーミング、キャッチコピー、情報発信、販促施策など多くのプロセスを経て商品が完成します。
開発する商品がどのようなものかを明確にし、参画する人たちがその情報を共有することでお客様から見て一貫性のある魅力的な商品が出来る、そのために「商品コンセプト」が必要なのです。
これらの作業をすべて一人で行うのであれば「商品コンセプト」はその人の頭の中にあれば十分で、明文化する必要はありませんよね。

商品コンセプトの構成要素は様々な言葉で表されていますが、このサイトでは以下の4つの要素を紹介しています。
どのような人に(ターゲット)
どのような場面で(シーン)
どのような便益を(ベネフィット)
どのような価値を提供するのか(商品特性)

しかし、この4つの要素にこだわる必要はなく、自社に合わせて要素を削除、追加して商品コンセプトをつくるといいでしょう。

【商品コンセプトのつくり方のポイント】

「商品コンセプトがどのようなものかは分ったけどうまく作れない、事例を教えて欲しい」という問い合わせがよくあります。
その一番の原因は商品コンセプトの全体像を考えてしまうことにあるのではないでしょうか。
上記構成要素のどれか一つから取り組み、他の構成要素を埋めていくようにすると意外と簡単に商品コンセプトが生まれます。
例えば、
自分のまわりにある商品が大好きな人がいる、その人は何故その商品が好きなのか、どのような場所、場面で食べるのか、その時のベネフィットはどのようなものななのか、それらにあった商品はどのような価値を持つものなのか・・・
また
研究所である商品が開発された、どのような人が喜んでくれるのか、どのよなシーンで口にしてくれるのか、その時の心理的満足はどのようなものか・・・

ある一つの構成要素の課題の解決から初めて最終的に商品コンセプトの全体像を作り上げる、一度お試しになってみられてはいかがですか?

食品の基本的価値をつくるのは新製品開発

日本においては「新製品開発」と「新商品開発」の二つの言葉が混在しています。
食品においては「新商品開発」を使うことが多いようです。

この二つの言葉の違いは「製品」と「商品」ですが、「製品」と「商品」の意味の違いはご存知ですか?
「製品」とは文字通り製造されたもの、「商品」とは製品を商いに適した状態になったものです。
英語では「製品」も「商品」も「Product」で表していますが、日本語の「製品」と「商品」の区別は「新製品・新商品開発プロセス」を考える上でとても都合がいいのです。

食品は原材料、加工法で基本的な属性が出来上がりますが、この段階が「製品」の完成になります。
しかし製品のままではそれがどのようなものか消費者には伝わりませんので、おいしいそう、体に良さそうなど、より魅力的なものにするためにブランド名を付け、パッケージに入れ、キャッチコピーを付けたりして売れるようになった「商品」にします。

レストランのシェフの新メニュー開発を例にして、もう少し具体的に説明します。

一、素材を選ぶ(原材料)
一、素材を生かした調理方法を工夫する(加工方法・特徴のある味わい)
この新らしい料理を開発するプロセスで料理の基本的な価値が生み出されます。

他のスタッフの賄いとするのであればフライパンなどに入れたまま「勝手に自分たちでよそって食べなさい」で済みますが、お客様に提供する、商売にしようとなるとそういうわけにはいきません。

お客様に料理をさらに魅力的なものと思ってもらうため、喜んでもらうため、そしてお金をいただくために
一、この料理を引き立てるためのお皿を選ぶ(パッケージ)
一、料理に名前をつける(ネーミング)
一、メニューへの説明分を考える(キャッチコピー)
この魅力を高めるプロセスを経ることで、料理はお客様に注文してもらえるようになります。

食品業界において前段の料理の開発プロセスが「新製品開発」、後段の魅力を高めるプロセスが「商品化(=商品開発)」、その二つのプロセスを経て「新製品・新商品開発」の完成になるのです。

上の事例では最初から最後まで一人で行っているシェフの頭には新しい料理のコンセプトがあるために一人ですべてを対応し、ぶれることがないのでコンセプトの明文化も必要ありません。
多くの食品メーカーでは、新製品開発と商品化(主にマーケティング部が多いのでしょうか)は部門に分かれていますので商品コンセプトの創造が欠かせないことは言うまでもありません。

食品メーカーでは「新商品開発)」と一括りにしていることが多いようですが、
「新商品開発」は「新製品開発」と「商品化(=商品開発)」のプロセスで成り立っている。
このことに気付くか否かで新製品・新商品開発のプロセスの効率が大きく向上します。

新製品・新商品開発に必要なサイエンスとアートの融合

サイト内にも書いていますが「新製品・新商品開発」のプロセスは「モノづくり(=新製品開発)」と「新商品開発(=商品化)」で構成されます。

多くの企業で
「新製品開発」は理系のスタッフが「論理的発想」で研究・開発をすすめて「機能的価値」を生み出しています。
一方、ネーミング、パッケージデザイン、キャッチコピーなどの「商品化」は文系のスタッフが「感性的発想」で商品化をすすめて「情緒的価値」を生み出しています。

どちらがいい悪いではなく、論理的発想には法則性があり、感性的発想にはそれがありません。
最近ビジネスの世界で「サイエンス」「アート」ということばがよく使われますが、前者のような取り組み内容が「サイエンス」後者のような取り組み内容が「アート」です。

聞いたことがある方も多いと思いますが
「雪が解けると何になる?」という質問に、「水」という答えが「サイエンス」の世界、「春」という答えが「アート」の世界です。

「機能的価値」でターゲットの心を動かし、「情緒的価値」で商品を購入してもらう。
「情緒的価値」で ターゲットの心を動かし、「機能的価値」で商品を購入してもらう。
今の時代の消費者は「理性」と「感性」の両方で心を動かされる商品でないと買う気になってくれません。

ヒット商品をつくるには、合理的なサイエンスと人間的、属人的なアート、科学合理性と人間的知恵をうまく組み合わせることが大切です。

新製品・新商品アイデアはどうしたら生まれるのか

突然数式が出て驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
中学校で習う二次方程式の公式です。

二次方程式では、まず「問題」がありそれがいくつかのプロセス(青字部分)を経て「公式」が出来ます。
新製品・新商品アイデアが生まれる流れも「課題」→「プロセス=(思考、工夫)」→「解決策」もこの二次方程式の公式までの流れと同じです。
数学では公式があれば問題は簡単に解けますが、市場における各企業の状況が異なるマーケティングでは「課題」は同じでも絶対的な「解」は存在しません。

新製品アイデア、新商品アイデアを考えるにあたってマーケティング理論、成功事例を参考にしている場合があると思います。
そのこと自体は悪いことではないのですが、「解」だけをいくら集めたところでアイデアは生まれません。
多くの場合、ある一つの「解」に過ぎないのですから。
その「解」はどうしてそうなるのか、そのプロセスを自分の頭で考えることが大切です。

つまり、結果としての「マーケティング理論」「成功事例」そのものを知識とするだけでなく、そこに至るまでの「プロセス」を理解しそれを知識とすることが必要です。
プロセス=(思考、工夫)は応用が効きますので、自社にあった解決策、自社の状況に応じた製品アイデア、商品アイデアが生まれます。

「アイデアのひらめき」は何もないところからは決して生まれません。
頭の中にある異なるプロセスがある時つながりを持った時に「ひらめき」あってアイデアが生まれるのです。
認知心理学では「創造とは、知識のないところから突然生まれるのではなく、過去にある知識を組み合わせる技術」と言われています。
必要なのは知識より思考力なのですね。

どうしたら売上が上がるかを考えている限り製品アイデア、商品アイデアは生まれません。
自社の状況と自分を含めた消費者心理を頭に置き、「どうしたらもっとお客様に喜んでもらえるか」を考え抜くことでアイデアが浮かんできます。

毎月開催している食品新製品・新商品 実践セミナーでは、参加者の方が魅力的なアイデアを生み出せるようになることを目的に、事例とそのプロセスを具体的かつより深くお伝えしています。
ご興味をお持ちになられましたら是非ご参加ください。

新製品・新商品開発の目的は新たな価値をつくること

売り上げを向上させることを目的にして新製品・新商品開発に取り組んでいませんか?
今の時代のマーケティングは、つくった商品をいかに売るかから、消費者が買いたくなる仕組みをどのようにつくるかに変わってきています。
消費者が関心があるのは商品そのものではなく、その商品が自分にとってどのな価値、恩恵(消費者からみるとベネフィット)があるかということなのです。

私がニッカウヰスキーに在籍していた時に体験した事例を紹介しましょう。
今から23年ほど前に酒税法の改正があり、それまでアルコール37%未満のウイスキーはすべて37%の酒税がかかっていたのですがアルコール度数8%から12%の範囲に限ってアルコール度数に応じて酒税が低減されることになったのです。
それまではアルコール37%のウイスキーでもアルコール8%の水割りウイスキーでも容量当たりの酒税は同じ金額だったのですが、酒税法の改正によりアルコール8%の水割りウイスキーは37分の8に酒税が下がることになりました。
当時多くの消費者はウイスキーを水割りで飲んでいましたので、缶に入れていつでもどこでも飲めるようになればウイスキーの消費は大きく増えるものと業界、社内ではウイスキーブームの再来を期待しました。

早速私に新製品・新商品開発の指示が出たのですが、製品はウイスキーを水割りにしたものと決まっているわけですからやることとしては缶の容量、ネーミング、価格設定、キャッチコピーなどの検討ぐらいしかありません。
それらの検討をしながら「本当に水割りウイスキーは売れるのか」という疑問が沸いてきました。
一人の部下と一緒にウイスキーに対するウイスキーユーザーの価値観、嗜好性、飲まれるシーンなどをマトリクスにして検討したのですが買ってもらえる理由が見つからないのです。
その原因としては
一、ウイスキーはモノではなくウイスキーを飲むという「かっこよさ」「やすらぎの演出」などのコトで飲まれているので氷が入っていないグラスと比較して缶入りで飲まれることは少ない
一、ウイスキーユーザーは家にウイスキーが置いてあり、グラスにウイスキーを注いで冷蔵庫から氷を取っだし水を加えるのは面倒なことではなく割高の缶入りウイスキーを飲むケースは少ない
一、ウイスキーユーザーは自分のウイスキーの濃さの好みがあるので8%と決まった度数では満足しない
一、あるとすれば出張、旅行中に駅の売店で購入して飲むことだが、ウイスキーにははやすらぎという価値があるので行動中に飲まれるケースは少ない

最終的にウイスキーブームの再来を期待していた多くの意見に従わざるを得ず発売することになりましたが水割りウイスキーを市場に投入したサントリー社、ニッカ社とも成果を上げることは出来ませんでした。
「多くの人がウイスキーを水割りで飲んでいるので水割りにしたウイスキーを缶に入れた商品は売れる」
「これまでなかった差別化された商品だから売れる」
という意見は一見正論のように思ってしまいますが、深く考えると価値を提供できていなかったのです。

消費者の心理を理解し、自分自身もその立場になって考え、ターゲット層に受け入れられる価値をつくり出すことが新製品・新商品開発の目的であり、その結果として売り上げの向上があると考えて新製品・新商品開発に取り組むことが大切です。

飲食シーン、利用シーンをターゲットにする

ターゲット設定というと多くの方は「誰に」と考えがちです。
デモグラフィック(人口統計分布)とサイコロジック(心理的変数)で消費者を分類することも大切ですが、飲食シーン、利用シーンをターゲットにすることも必要です。

飲食シーンでは
一人で食べるのかみんなで食べるのか
ごはんのおかずのおかずで食べるのか、酒のつまみで食べるのか
朝に食べるのか、昼に食べるのか、夜に食べるのかなど
飲食シーンの違いで商品サイズ、味わい、キャッチコピーが違ってきます。

また利用シーンでは
プレゼントに利用するのか
観光みやげにするのか
ノベルティに使うのかなど
利用シーンの違いでやはり製品設計、商品設計が変わってきます。

いくつか事例を紹介します。

カルビーの「フルーツグラノーラ」
1991年発売と言いますから商品としてはロングセラーですが一時伸び悩んでいました。
カルビー社は、1911年ごろに朝食を別々にとる家族が増えてきて簡便に済ませたいというニースがあることに気づき、朝食市場にターゲットを絞ったのです。
その結果40億円ほどの売り上げが3年後の2014年には140億円を超えるまでになっています。

アサヒ飲料の「ワンダ モーニングショット」
それまでにもコーヒー飲料を出していましたが、午前中に缶コーヒーを飲用するボリュームが全体の約4割以上を占めることが調査結果で解り、その市場でトップシェアを取ることを目標に2002年に「朝専用缶コーヒー」を発売します。
研究所や新製品・新商品開発部署では中身の差別化を図ったと思いますが機能的訴求はほとんどなく「朝専用」という訴求と広告宣伝で発売年には400万ケースを販売し、今では他のWANDAブランドも含め4,000万ケースに達しています。
「朝専用」だけでこれだけヒットすることに疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、機能的に差別化がくて商品の選択に迷う場合にシーンを限定されることで「無駄な悩みを避け軽い気持ちで選択する」という消費者心理によるものと私は思います。

他にもまだいろいろなシーンでニーズは存在するのではないでしょうか?
外国人観光客の増加により新しいシーンも出来てきています。
このように飲食シーン、利用シーンを絞り込んで新製品・新商品開発、マーケティングを進めることも必要です。

新製品・新商品開発における市場のセグメンテーション

セグメンテーションとは、共通する特質を基準に不特定多数の人々を分類する 市場細分化のことことです。
その結果出来たいくつからのグループの中かから、自社の強み、新しいアイデアを発揮出来るグループを選択しターゲットとします。
万人に自社商品を買ってもらいたいという気持ちは誰でも持ちますが、商品が他の競合商品との差別化が出来ませんので競争関係が激しい今の食品業界では効率的ではありません。

セグメンテーションはいくつかありますが、マーケティングでよく使われるのがデモグラフィック(人口統計分布)とサイコグラフィック(心理的変数)の二つです。

デモグラフィックでは年齢や性別、家族構成や職表、社会的な階層がその変数になります。
どんなに魅力的は商品をつくり出してもその存在を知ってもらわなくては売れることはありません。
この分類は昔から宣伝広告効果の最大化を目的としてよく使われてきています。
例えば、深夜のニース番組は中年サラリーマンの視聴率が高く、バラエテティー番組は若者の視聴率が高かったりしますので年代でセグメンテーションしてターゲットを設定します。。
このように宣伝広告に効果のあるセグメンテーションでも新製品・新商品開発におけるセグメンテーションにはあまり向いていません。

最近ハ新製品・新商品開発で必要なセグメンテーションはサイコグラフィックと言われ、価値観、嗜好性、ライフスタイル、性格などが変数になります。
価値観が多様化している今の時代は年代で分類することは難しいと言わざるを得ません。
消費者志向といいますが、常に消費者の気持ちを考え、消費者心理を理解することが欠かせません。

私は新製品・新商品開発をするにあたってもう一つのセグメンテーションを採用します。
それはシーン(場面)での分類です。
新製品・新商品開発のお手伝いをしていると、完成した製品を開発会議や経営会議などで試食、試飲する場面に出会います。
小さなカップを使った試飲や少量を口にするだけの試食で「もっと味わいはしっかりさせた方がいい」「味にインパクトが欲しい」という意見が出て担当者は品質設計をやり直すことがあります。

ポカリスエットの開発にあたって話ですが、二つのタイプの試作品もって研究所の何人かで山登りをして汗をかいたところで試作品を飲み比べました。
その時全員が薄い味わいの試作品の方を「ごくごく飲めておいしい」と評価しました。
それを社内で提案したところ「まずい」「これじゃ売れない」という意見が圧倒的だったのですが、社長の「汗をかいた後に飲めば、きっと理解してもらえるはず」発言でポカリスエットの味が決まったという有名な話があります。
飲料だけではなく、例えば干物、お酒のつまみにする場合とごはんのおかずにする場合とでは塩味の強弱などの味付けを変えた方が売れるのではないでしょうか。

「どんな人に飲んでもらうか」という人のターゲット設定に加えて、「どんな場面で飲み、食べるのか」というシーンのターゲット設定が必要な場合が多くあると思います。