投稿者「ogawa109」のアーカイブ

高まる消費者の健康志向

数年前に一大ブームとなった糖質オフダイエット(糖質制限)が再び話題になっています。
ダイエットと言うと「やせること」と思われる方が多いと思いますが、本来のダイエットの意味は「食事」であり、やせるための食事療法を英語で「Slimming Diet」と言います。

「低炭水化物ダイエット」「ローカーボ(Low carb)ダイエット」などとも呼ばれ、糖質摂取の食生活を送ることで糖尿病などにつながる肥満を防止し、健康を維持しようとするものです。

欧米諸国では糖質制限食が推奨されていますが、日本ではその効果や安全性について賛否が分かれています。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015 年版)ではエネルギーの指標 (カロリー制限)を採用しています。

ただし、食品・飲料メーカーに対し製品中の糖質の含有量を減らすよう求める圧力が高まってきていることは間違いありません。
そこで健康的な食品を選びたいと考える消費者のために、製品中に含まれる糖質を減らす試みを各社行っています。
下の写真は森永乳業から発売されている低カロリープリンと低糖質プリン。
最終的には消費者がどちらが自分の体にとって価値があるのか決めるのでしょうね。

スイスのネスレ社は昨年、チョコレートなどに含まれる砂糖の量を最大で40%減らす技術を開発したと発表しました。
砂糖の粒子を中空にするという新製法で、感じる甘さは変わりないそうです。

私見ですが、世界の潮流が糖質制限である以上、日本においても低糖質、糖質制限が注目されるようになるのではないでしょうか。

マーケティング理論に囚われすぎるリスク

6月初旬の日経MJの記事(「モノ」のヒットが出にくい時代 心捉えるマーケティング)が目に留まりました。
小さな記事ですが、最後に「マーケティング思考の重要性が一段と増しています」という文章で締めているのですが何故か気になりました。
マーケティング思考とは何なのでしょう。

そもそもマーケティングとは企業が業績向上を目的にして行う諸活動の集合体だと私は常々思っています。
大手、中堅、中小企業その内容は異なりますが売り上げ、利益を上げて業績向上につなげるための諸活動はどこの企業でも行っています。
中小企業、個人事業者においてはマーケティングという概念、マーケティング理論は全く知らなくても「どんな人に買ってもらうどんな商品にしようか」「たくさん売れるため、利益を上げるために価格はいくらにしようか」など色々考え、施策を講じていますが、これも間違いなくマーケティングであり、マーケティング思考が存在しているのは間違いありません。
当事者にとってはマーケティングを行っているという意識は無いでしょうが。

私が気になった点は、実際の企業において「マーケティングが大切」「マーケティング思考が重要」などと、解ったようで解らない言葉で物事を進めてしまうことの危険性です。
今回の記事においても「従来のマーケティング理論に囚らわれることなく、新しい発想で業務を行うことが大切」となっていれば、次のアイデア、施策が出やすくなると思いませんか?

先日ある企業のマーケティング担当者の方から相談を受け、お会いして話す機会がありました。
非常にマーケティングに精通されて知識も豊富なかたで筋の通った企画書も見せてくれました。
しかしながら、企画書は「顧客価値の創造」で終わってしまっていたのです。
社内プレゼン資料ならまだしも実際に行動していかなくてはならない立場では不十分です。
本人も「この先をどうするかで頭を抱えています」と言っていました。
今回の件は決して珍しいことではありませんが、やはりマーケティング、マーケティング理論に囚われた結果のように思います。

異論はあると思いますが、私はマーケティング理論は経験則で成り立っていると思っています。
経験則である以上、社会が変わり、消費者心理が変われば従来のマーケティング理論は通用しなくなります。
私も30年近くマーケティングに携わってきましたが、マーケティング理論は物事を考える場合の参考にはなりましたが(反面教師も含め)やはり自分の目で頭で消費者を観察し、心理を理解することに勝るものは無いと思っています。

若い方は覚えていないかもしれませんが、詩人、劇作家の寺山修司の言葉に「書を捨てよ、街に出よう」という名言があります。
一度マーケティング理論を離れ、自分の頭でアイデア、施策を考えてみたらいかがでしょう。

 

 

 

ヘビーユーザーを大切に

ある企業から定番商品のリニューアルの相談を受けました。
主力商品の売上を高めたいので味を改良してリニューアルしたいという内容です。

おいしくすれば売り上げが上がる、ここに大きな誤りがあります。
「おいしい」「おいしくない」はメーカーが決めることではなく消費者が決めることです。
皆さんは今から約30年前のコカ・コーラのリニューアルの大失敗を覚えていらっしゃいますか?

時は1985年、アメリカでの話です。
競合するペプシ・コーラが若者を中心に売り上げを伸ばしてきているためにコカ・コーラはそれまでのコカ・コーラの味を変えるという決断をしました。
よりおいしいコーラをつくり出すためにブラインドテスト(商品名がわからないようにしてモニターに味の評価をしてもらうこと)を繰り返し行い、それまでの自社商品、競合商品と比べて大きな評価があった新商品「ニューコーク(NewCoke)」を発売したのです。
普通は誰が考えても「ニューコーク」が売れると思いますよね。ところが全く売れずに不買運動までに発展してしまったのです。
結局、「ニューコーク」の新発売の三か月後にコカ・コーラ社は「コカ・コーラクラシック」として従来の味わいの商品に戻したのです。

何故、多くのモニターがおいしいと思ったのに売れなかったのでしょう。
当時、売れなかった理由は記事には見受けられませんでしたが二つの理由が考えられます。一つは「モニター選定の誤り」もう一つは「味への慣れを考慮しなかったこと」。
コーラの飲用者はヘビーユーザー(仮に1日1本)とライトユーザー(仮に1週間に1本)二つの層に分かれます。ヘビーユーザーとライトユーザーの人口比率、消費量比率はわかりませんが、仮に二つのユーザー層の人口比率が2:8とした場合、ヘビーユーザー全体の消費量はライトユーザー全体の消費量より圧倒的に多いはずと想像できます。モニター1,000人の調査でヘビーユーザー200人、ライトユーザー800人としたら調査結果はライトユーザーの嗜好に左右されてしまいます。「ニューコーク」はライトユーザーにとってはおいしいコーラだったのでしょうが、ヘビーユーザーにとってはこれまでの飲みなれたコーラと違い、違和感のある味だったために評価しなかったのでしょう。
ライトユーザー800人全員が1週間に1本買ってくれても1週間で800本、毎日飲むヘビーユーザーの消費量は1週間で1,400本、ヘビーユーザーが買わなくなったら販売量は激減になるのは当然です。

ヘビーユーザーとライトユーザーの比率を見つけるのは難しいのですが、最近ではクレジット利用の増加とPOPの機能の向上で個人単位は無理でも家庭単位での把握はしやすくなっています。

競合するヒット商品に追随する

競合するヒット商品に追随すると聞いて意外に思われる方も多いのではないでしょうか?

KJ法、オズボーンのチェックリスト法、マインドマップなど商品開発におけるアイデアの発想法は色々ありますが、一番確実なアイデア方法は「競合する商品に追随する」ことです。
新商品開発にあたってアイデアを収集することは無駄なこととはいいませんが、「何か売れるものはないかな?」と漠然とした気持ちで「無から有を生み出す」ことを一生懸命考えているのはありませんか?
何かを生み出す時に何もないところから考えるより、比較対象があった方がアイデアが生まれやすくなりますよね。

商品がヒットしているということは、多くの消費者のニーズ、ベネフィットを満たしているからにほかなりません。
競合ヒット商品はテストマーケティングをしてくれているわけで、その商品に対する消費者ニーズ、ベネフィットは何かを考えて、それをより満たすには何をどう変えればいいか、何を新たに加えたらいいかを製品開発、商品開発に取り入れ、価値の高い商品に仕上げればいいのです。
後出し「じゃんけん」です。
単なる追随はモノマネで終わり先行商品を超えることは出来ませんが、このようにして生まれた商品は競合メーカーも消費者のヒット商品とは思わないでしょう。

追随することは決して恥ずかしいことでもモラルに欠けることではありません。
食品においては、そのほとんど(すべてと言ってもいいでしょう)が従来品の改良によって多くのお客様に喜ばれる新商品が生まれているのですから。

新商品開発で必要なことは「違い」をつくること

同じような商品があふれている今の食品市場で新商品を導入するにあたって必要なことは「違い」をつくることです。(=差別化、新規性)

食品マーケティングでも、まずその新商品が注目されなくては始まりません。
「新商品」の訴求をすることでトライアルユースは起こるかもしれませんが、手にして口にして既存商品と変わりばえがしないとなればリピートユースは起こりません。
しかも今の時代「新商品」ゆえに発生するトライアルユースも2~3ケ月で、そのうち既存商品に埋もれ店頭から消えていきます。

「違い」をつくるとはどういうことでしょうか?
新商品のネーミング、パッケージ、キャッチコピーの創意工夫も必要であることは間違いありませんが、製品開発における競合商品との違い、特に原材料、加工方法等の新規性が欠かせません。
ただしターゲットが「魅力的な価値と感じる違い」でなくてはならないことは言うまでもありません。
そしてその「価値のある違い」をネーミング等できちんとターゲットに伝えることでターゲットが買いたくなる商品になるのです。

昔の話ですが、ある洋酒メーカーが無色透明のウイスキーを発売しました。
ウイスキーの香り、味はそのままで、琥珀色だけを取り除くために研究開発部門では大変な苦労をしたと思いますが、新規性はあってもウイスキーユーザーには価値がない商品だったためいつの間にか市場から消えていました。

「価値ある違い」の見つけ方については次回のコラムでお伝えします。

本日のメールマガジン内で今月末のセミナー開催日を2017年5月31日(木)としていましたが水曜日の間違いです。お詫びして訂正いたします。

ヒット商品づくりに必要な機能的価値と情緒的価値

商品開発においては消費者に対して「機能的価値」と「情緒的価値」の提供が欠かせません。
機能とは物の働き、情緒とは事に触れて起こる感情のことです。

機能的価値をつくり出すのは主に研究開発、製品開発部門で、原材料、加工方法の工夫で価値が生まれます。
食品に対する科学的知見が必要とされる業務です。

情緒的価値をつくり出すのは主に狭義の商品開発部門で、ネーミング、パッケージ、キャッチコピーや宣伝、販促などの工夫で価値が生まれます。
食品に対する消費者心理の把握、理解が必要とされる業務です。

機能的価値と情緒的価値はヒット商品づくりにおける車の両輪です。
製品開発部門は業績向上のためコストダウン、業務改善も行わなくてはならず、出来るだけ低価格で自分たちの考えるおいしさを実現しようとする傾向になりがちです。
また商品開発部門では製品の原材料、加工方法までの十分な知見がなく、情緒的価値の向上の追求になりがちです。

前者は「論理の脳」で仕事をしますし、後者は「感性脳」で仕事をする、つまり使う脳が違うのですからこの溝を埋めるのは難しいと言わざるを得ません。
しかし、食品市場の主役である女性は商品を選択するにあたって感性脳と理性脳の両方を活動させているのです。

機能的価値と情緒的価値が相互に高めあい融合した商品がヒット商品につながる可能性が向上します。
それを実現するためには製品開発部門と商品開発部門の密なる連携が欠かせないのではないかと思います。

高くても買いたくなる消費者心理

商品開発、マーケティングのサポートをさせていただいていた福島県にあるドライフルーツ製造会社がGINZA SIXに国産果実ドライフルーツ専門店「綾ファーム」を出店しました。
開店以来客足も途絶えることなく採算ベースを大きく上回る売り上げとなっています。

この商品ですが、原料果実の生産地、品種名だけでそれぞれの果実の特徴の説明はありませんし、あえて商品訴求といえば「手間暇かけてつくった」ということでしょうか。
国内で販売されているドライフルーツの10倍(gあたり)近くの価格で内容量は約70gで2,400円、まさに高級、高価格ドライフルーツです。

何故この商品が売れるのでしょうか?
主たる成功要因として三つのことがあげられと思います。

一、ドライフルーツと言えば果実の保存性を高めることを目的としてつくられたものですが、今回の製品開発においては保存性を捨て果実本来のおいしさを追求することで他のドライフルーツと差別化された独自性のある製品であること。賞味期限はわずか3日から1週間。

一、GINZA SIX地下二階の食品売り場は各ショップが個性的店舗デザインでありながら統一感があり、さながら高級食品のテーマパークの雰囲気が醸し出されています。来店客のわくわく感をつくり出すことで価格に対する理性的判断が弱まる状況になるという消費者心理を考えたGINZA SIXの運営会社のマーケティング戦略がきちんとしていること。

一、綾ファームでは冷蔵ショーケースに製品を並べ、お客様に6種類のドライフルーツをチョイスしてもらった後、スタッフが手袋をはめ金属製の箸を使ってパッケージに詰めます。そのことで高級感、おもてなし感を演出し商品価値を高めていること。手間がかかるため四人のスタッフで対応。

この三つの要素のどれか一つが欠けても成功は見込めないでしょう。
そしてこの三つの要素は今までにない新しいことばかり、日本人に多いといわれる「新しもの」好きの心をとらえマーケティングではないでしょうか。

綾ファームのサイト

今回の商品は機能的価値(=物の働き、効果)の訴求はなく、情緒的価値(=ことに触れて起こる感情)で商品に人気が出たものです。
情緒的価値の強い商品は、一般的には一時的な人気は出やすいものの、消費者の移り気の影響で商品が売れなくなると言われています。
一時的人気からブランドが構築されるようになるまで常に新しいマーケティング施策で消費者の気をひきつけなくてはなりません。
これからが正念場になるのでしょうね。

行列に並ぶ消費者心理 GINZA SIX

株式会社大丸松坂屋百貨店、森ビル株式会社、L Catterton Real Estateおよび住友商事株式会社の4社の共同出資で設立されたGINZA SIXリテールマネジメント株式会社が2017年4月20日にGINZA SIXをオープンしました。

早速に地下二階の食品売り場に行ってみましたがオープン初日とあって大混雑。

フロアには高級店39店舗が出店しているのですが、各店舗は高級感が演出されていて、個々の商品の値段は高く、高いことが商品価値を高めて、高いからこそ買ってもらえる特別な世界です。

そして行列が出来ているのは主に横文字系、いわゆる海外有名店。
行列に並ぶ行動を心理学的には「無意識のうちに多数者や、すでに先んじて何かをやっている人の行動に思わずならってしまう」同調心理と言われていますが、今回の場合は無意識ではなく具体的には主に以下の二つの心理で列が出来ているのではないかと思います。
一、海外有名店を知っていて、その店で買えるのなら行って買ってみよう。
一、皆が並んでいる、きっとおいしいに違いない、おいしいはず、自分も買ってみよう。
これに加え、初物、限定(ここでしか買えない)好きの日本人故の心理もあるのでしょうね。
並んで商品を購入した消費者の多くは商品そのものはもとより買ったことに満足感、幸せ感を持ったのではないでしょうか。
モノ消費からコト消費が増えてきている現象のようにも思えます。

首都圏ではオープン前からテレビ取材、雑誌、ネットで情報発信が行われていました。
海外有名店の場合は日本企業が間に入り、そこが広報エージェントを使って積極的に情報発信を行っていたように思います。
当然のことながら施設の運営会社も集客の肝となるフードフロアの話題作りを積極的に行iい、オープン直後とは言え、これだけの賑わいを作り出せたのは事前の情報発信が大きく影響しているのではないでしょうか?

以下にGINZA SIX地下二階の店舗案内へのリンクを置きました。
各店舗ごとにショップコンセプトが掲載されています。

GINZA SIX B2Fフーズ

ホームページは集客、販促のためのマーケティングツール

集客、販促のマーケティングツールとしてホームページは欠かせないものとなっています。
皆さんの会社のホームページは成果を上げていますか?

多くの食品メーカーのホームページを拝見して、成果は上がっていないだろうなと感じるところが少なくなくありません。
多くの食品メーカーはホームページの制作を外部の制作会社に任せていると思います。
しかし、制作会社がホームページを作成する目的と御社がホームページ作成する目的は違います。
全てと言うわけではありませんが、多くのホームページ制作会社は御社の企業案内、商品案内をサイトに取り込み見栄えのいいホームページはつくっても、御社の集客、販促の成果を上げるマーケティングツールとしてのホームページをつくることは得意ではありません。

自社のホームページの目的、コンセプトを明確にせずにホームページ制作会社に依頼しているからなのか、ホームページ制作会社にそれを理解するマーケッターがいないのか。
自社の事業のこと、商品のこと、お客様のことを熟知しているのは御社です。
それらをホームページ制作会社に理解してもらわなくてはなりません。

ホームページ制作には特別なスキルが必要なことと、自社でスキルを持ったスタッフを採用してもマーケティングスキルまで持ち得ないのが現実です。
マーケティング部門がホームページ制作に積極的に関わることが欠かせません。

食品の場合はターゲットは女性、特に主婦です。
女性に共感を持ってもらえるホームページを提供し、自社に好感を持ってもらうことが業績向上につながるのではないでしょうか。

食品の購買決定権は主婦が握っている

ある企業の家庭調査では、食品の購買決定者の9割が女性になっています。
食品購入決定者の女性の割合は、食材・調味料でほぼ100%、菓子・飲料・調理済食品で90%、酒類で50%となっています。
商店街、スーパーの食品売り場に行けば女性がほとんどで男性の買い物姿はまれにしか見られませんし、酒類の購買決定者の男性割合が50%はもっと高いのではないかときがしますが感覚としては納得できるものではないでしょうか。
カテゴリーで違いはあるかもしれませんが、女性特に主婦が食品の購買決定者であることは間違いありません。

食品企業で主婦をメインターゲットにマーケティングをしているところはどのくらいあるのでしょう。
子供向け菓子のように消費者は子供でも購入決定者は主婦というようなケースは沢山あります。
「男性が食べるのだから」と男性に向けた商品の訴求になっていませんか?
主婦は「主人、子供に喜んでもらいたい、安全なものを食べさせたい、健康にいいものを食べさせたい」と常に考えながら商品を選択しています。
一方で調理の簡便性、容器の利便性なども考えます。
商品開発も含め主婦の心を動かすマーケティング施策が大切になってきています。

最近の脳科学では「女性脳」が注目されています。
これまでは、男性は論理脳、女性は感性脳と言われてきましたが、最近の研究では女性はまず感性脳を使って商品に興味を持つと同時に頻繁に論理脳と連携を取っていることが明らかになってきています。
感性で商品を評価し、家族のこと自分にとっての利点などを論理的に考え最終的に購買を決定するというプロセスを取ります。

商品開発も含め主婦の心を動かすマーケティング施策が大切になってきています。