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ヒット商品をつくる三つのベネフィット

ベネフィットとは、消費者が商品やサービスを購入使用することによって得られる利益、効用、平たく言えば「得した」「嬉しい」と思う気持ちを持つ要素のことです。
私も含め人間は良くも悪くも貪欲ですから、少しでも自分にとって得するものを求めるのは必然であり、買ってもらえる商品、利用してもらえるサービスにはベネフィットは欠かせません。

ベネフィットを以下の三つ「機能的ベネフィット」「情緒的ベネフィット」「自己表現ベネフィット」に分類すると解りやすくなります。
食品でベネフィットにつながる主な要素を考えてみましょう。
【機能的ベネフィット】
おいしい、安い、健康にいい、簡単につくれる など
【情緒的ベネフィット】
新しい、安心できる、高級感がある、希少性がある、話題性がある など
【自己表現ベネフィット】
こだわりを示せる、自慢できる、自分のライフスタイルを誇示できる など

いかがでしょう。
皆さんも消費者としてこのようなベネフィットから商品の購入をしているのではありませんか?
にもかかわらず、食品メーカーの多くは機能性ベネフィットの訴求はされてますが、情緒的ベネフィット、自己表現ベネフィットの訴求までしているところはまだまだ少ないようです。

私が子供のころに初めてコカ・コーラを飲んだ時「なんてまずいのだろう」と思いました。
三ツ矢サイダー、バヤリースオレンジの方がよっぽどおいしく感じていました。
私の記憶の中にはコカ・コーラの機能性ベネフィットの訴求はなく、あるのは「スカッとさわやか、コカ・コーラ」のキャッチコピーでこれは情緒的ベネフィットの訴求です。
同じような情緒的ベネフィットの訴求で成功した事例としてはビールのスーパードライがあります。
機能性ベネフィットの訴求もしながらテレビコマーシャルではスポーツシーンなど活動的なライフスタイルの訴求で成功を収めています。
自己表現ベネフィットの訴求としては、ネッスル社が1980年代に「違いがわかる男の、ゴールドブレンド」のキャッチコピーと共に各界著名人を起用してブランドイメージの高級感を醸成させています。

三つのベネフィットの違いを理解してもらうために事例を挙げてみましtが、どれも一つのベネフィットだけでなく機能性ベネフィット、情緒的ベネフィット、自己表現ベネフィット、三つのベネフィットを強弱をつけてうまく組み合わせていることは言うまでもありません。

中堅、中小食品メーカーの皆さんにとっては「大量宣伝が出来る大手企業ならではのこと自分たちには関係ない」と思われるかもしれませんがネット社会の今の時代、決して無理な話ではありません。
前回のブログでも書きましたが、差別化された特徴のある商品を開発し、最初は機能性ベネフィットだけの訴求でもそれがネットで話題となり、マスコミで取り上げあられ、さらにネットで話題になることで「話題の商品を食べてみたい」という情緒的ベネフィットを持つ消費者が増えヒット商品となり、いずれブランド商品になる、実際に規模の大小はあるもののそのような商品が多くみられるようになってきています。

ターゲット設定から始める新製品・新商品開発

前回のブログで「ベネフィット」について書きました。
メーカーがどんなに価値ある商品をつくってもそれをベネフィットとして享受する人がいる反面、全くベネフィットとしない消費者も存在します。
ある商品においてすべての消費者にベネフィットを享受してもらうことは事実上、不可能なのです。
そしてその商品にベネフィットを持つターゲットを設定して、何を行ない、何を行なわないかという、商品展開のための戦略を策定していく必要があります。

日本のように市場が飽和した状態では他社のブランドのシェアを奪わない限り自社の成長は期待できないため、新商品の市場導入は欠かすことが出来ません。
その時自社内の商品を対象にして新商品を開発しても単なる独りよがりで、他社ブランドの顧客は新商品に興味を持ってくれません。
「今回の商品はこのような素材を使って、このような作り方をして、これまで市場にある商品とはこのように違います。そしてこれを食べることでこんないいことがありますよ」と訴求して他社ブランドの顧客のブランドスイッチを促進しなくてはなりません。

既存市場にどのような嗜好、価値観、不満点を持った消費者(ターゲット層)がいるかを考え、その人たちにどのようなベネフィットを訴えかけるかを明確にして商品を考える方がマーケティング上効率的になるではないでしょうか。
もちろん、研究開発部門で画期的な製品が開発された場合はその逆の流れになります。

ターゲット設定に当たっては、限度はありますが層の規模が小さくても心配いりません。
規模が小さいほうが、ベネフィットならびにその元になる価値は差別化され独創的で話題性のあるものになります。
以前は大手メーカーがマスメディアを使った大量宣伝で新商品訴求をしてくるため中堅、中小企業は対抗しにくい状況にありました。
しかしネット社会になって消費者の間のベネフィット共感の伝播が見られ、SNSなどで話題になるとマスメディアがそれを取り上げ、それがまた消費者間の共感をさらに高めヒット商品につながるというが顕著です。
この現象がいつか終わってしまうのか、それともさらに広まってくのかは定かではありませんが、この現象をうまく利用することが、今の時代、大手、中小にかかわらずヒット商品を生み出す重要なマーケティング施策の一つのような気がします。

新製品・新商品開発における価値とベネフィット

近年、大手企業をはじめとして今後の商品における「価値の向上」「価値の差別化」への対応が表明されてきています。
今回のブログでは「価値」について考察してみました。

「価値」とは
物がもっている,何らかの目的実現に役立つ性質や程度。値打ち。有用性。 (大辞林より引用)
哲学、経済分野では別の意味もありますが、新製品・新商品開発における「価値」の意味はこれでいいと思います。
冒頭にあげた「価値の向上」「価値の差別化」にある「価値」もこの意味で使われています。

一方、マーケティングでは「価値」に近い意味で「ベネフィット」という言葉がよくつかわれますが、価値とベネフィットの違いはご存知ですか?

「ベネフィット」の意味は
利益、ためになること [もの] (研究社 新英和中辞典)
「価値」は価値を感じる人がいて初めて意味を持ちますが、ある人にとって価値あるものでも、他の人にとってそうではない場合もあります。
「ベネフィット」はある人たち(=特定のターゲット)が何かしらかの恩恵を受ける要素のことです。

「価値」はプロダクトアウト的で「ベネフィット」はマーケットイン的と言えます。
本来は「ベネフィットの向上」「ベネフィットの差別化」とした方が適切ですが、「ベネフィット」という言葉が一般的ではないために解りやすさから「価値」という文言を使っているのでしょう。

新製品・新商品開発においては「どのような人たちにどのようなベネフィットを提供するのか」、つまりターゲットを明確にしてその人たちの心を動かし満たす要素は何かを明確にした商品コンセプトが欠かせません。