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見た目は「本物」、中身は「別物」

今週発売された週刊現代に食品のつくり方に関するスクープレポートが掲載されていました。
「安さを追求のためにひどい原料、様々な添加物を使ってコストを下げている」と言う内容で20の食品がやり玉に挙がっています。

一例を上げますと「チューブ入りわさび」は「本物のわさびの分量はごくわずかで、油、加工でんぷんが大半を占める。香料によってわさびの香りをつけ、人工甘味料で甘みを添加する。長期間腐らないのは、添加物が多いため」と書かれています。(週刊現代から原文のまま引用)

この真偽はともあれ「どこが悪いのかな」と言うのが私の正直な感想です。
やり玉に上がった20の食品は食品衛生法で安全と認められている原料、添加物を使用していることは間違いないはずです。
わさびの例で言えば、食品メーカーの研究開発の結果、安価にいつでも手軽においしく刺身が食べられるようになり、消費者がその価値に納得して買っているのでは購入しているのではないでしょうか。

食品業界にも技術革新がありますので、昔のまま、人工的に手を加えていないものが「本物」と決めつけるのはどなのでしょうね。

Caviaroliという商品をご存知ですか?
オリーブオイルをカプセルに詰めた食品で、「世界一レストラン」と言われるスペインにあるエル・ブジ(エル・ブリ)の総料理長フェラン・アドリアが来日した時に人工イクラの製造方法を知って開発したと言われています。
人工イクラはイミテーション商品として評判は良くなく今は見かけませんが、オリーブオイルカプセルは新しい食品として人気があるようです。
サラダ油とオリーブオイルの違いだけの製品が、商品コンセプトを変えることで全く違う商品になりました。

個人的には代替原料を使ったり添加物を使ったりする商品は好きではありません。
今の時代、そのような商品の逆を行く新製品・新商品開発の方が魅力があると思っています。

鉛は磨いても金にならない

食品においては「新商品開発」という言葉が一般的です。
日本語では「製品」と「商品」の概念がありますが英語では明確に区別されていません。
「製品」も「商品」もProduct、「新製品開発」も「新製品・新商品開発」もProduct developmentです。

私は特に食品においては新製品開発と新商品開発は別のものと考えています。
「日本の食品業界」と付け加えた方がいいのかもしれませんが。
そもそも新製品開発を行う部署と新商品開発を行う部署が異なりますし、それぞれの部署のスタッフに要求されるスキル、ノウハウも異なります。

多くの方は、お客様に価値のある製品の開発が必要だと承知はしていても、それが見つからないため新商品開発で魅力的な商品にしようと苦労しています。

価値のある製品でない限り、いくら商品化で努力しても限界があります。
価値のある製品が開発されても、商品化がきちんと出来なければお客様に買ってもらえる商品にはなりませんが。

他の製品より価値のある製品を開発し、その価値に磨きをかけてよりお客様の心を動かすようにすることが製品の商品化であり、その結果が成功する新製品・新商品開発になるものと思います。

新製品・新商品開発における「感性」とは

先週末に青森県主催の「新商品開発力強化支援事業成果報告会」なるものが開催され、出席してきました。

その会の後半に「デザイン産学官連携プログラム~大学生の感性を活用したデザイン支援~成果報告」というプログラムがあり、弘前大学の人文学部、教育学部の学生10チームによる報告がありました。
内容は青森県の工芸品を題材とした商品・デザイン企画」ですが、すでに市販されている商品ですのでそれらをどのようなパッケージ入れ、どのような販売促進を行うかというものでした。

報告の内容はともかく、タイトルにある「大学生の感性を活用」と言う点が気になりました。
若い人が持っているであろう(大人には持ちえない)物事の感じ方から新しい発想が生まれることを期待してのことでしょう。
企業でも学生に新商品開発に参加してもらうケースがありますが、その場における学生の価値観の違いが参考にはなって新商品開発に生かすことは出来ても、実際に学生が新商品開発まで行うのは無理があると思います。

この機会に「感性」の意味をあらためて調べてみましたが、正直なところ明確な意味の違いはわかりませんでした。
私は、「理性」は論理的思考で心が動くこと、「感性」は感覚的に心が動くことだと思っています。

消費者の「理性」と「感性」の両方に訴えるものでないと商品は買ってもらえません。
買ってもらえる商品をつくる新商品開発をするには、新製品開発レベルでは「理性」を働かせる必要性が高く、商品化レベルでは「感性」を働かせる必要性が高くなるのではないかと思います。

もちろん、「理性」「感性」の両方を兼ね備えて新製品・新商品開発にあたることが出来ればそれに越したことはありませんね。

高価格であること、それ自体が価値

消費者は高価格商品に対して価値を感じます。
価値を期待すると言った方が正確かもしれません。
食品の場合は「高かろうおいしかろう、安かろうまずかろう」という言葉をよく聞きますね。

例えば一つ120円のシュークリームと200円のシュークリームがあった場合、
「高い方がおいしいとは思うけど・・・」と120円のシュークリームを購入する消費者もいれば
「高い方がおいしいはずだから」と200円のシュークリームを購入する消費者もいます。

昨今の食品市場では後者の購買心理が台頭していることを証明する事例が多くみられます。
高価格であること自体が価値を訴求して、それを受け入れる消費者が増えてきています。

デフレと言われた経済環境の中では「良い商品をより安く」という方針でモノづくりが行われてきましたが、今は「適正価格でより良い商品を」という方針のモノづくりが通用するようになってきているのではないでしょうか。

「どうやってコストを下げるか」ではなく、「どうやって消費者に認めてもらえる価値をつくり出すか」という発想の転換が必要になってきます。