月別アーカイブ: 2013年5月

高級?さくらんぼ 差別化、高品質、高価格商品成功事例

cherryそろそろ「さくらんぼ」の時期になってきました。

桐の箱に入って数万円の「さくらんぼ」もありますが、ごく普通の佐藤錦という品種の「さくらんぼ」のおいしさを追求した結果、高価格品になったもののお客様に喜んで買ってもらえた事例を紹介ます。

今から10年近く前、私がアサヒビールのインターネット業務を行うグループ会社を任されていた時の話です。

その会社ではグループ各社の商品を販売するオンラインショップも運営していました。グループ会社にニッカウヰスキーがあり、蒸溜所のある北海道余市(よいち)の自然風土の良さを訴求して少しでも企業イメージを高めるために、オンラインショップで余市のさくらんぼを販売してその目的を果たそうと考えました。余市は山形に次ぐ「さくらんぼ」の産地です。

工場の従業員の知り合いの農家を訪問し、趣旨を話し出始めのさくらんぼを口にしたが格別おいしいというものではありあmせんでした。「もっとおいしいのはありませんか」と聞いたところ「木で熟成させたものは驚くほどおいしいけどそれは販売できないんですよ」と言われました。
詳しく聞いたところ、二つの出荷できない理由があり、一つは「完熟しているので傷みが早く店頭に長く置けないので商品価値がない」というもの、そしてもう一つは「木に生ったまま熟成させると木が弱り翌年は収穫出来なくなる」というものでした。
そのような理由から「さくらんぼ」は完熟前に収穫し出荷するというのがさくらんぼ農家の常識だったのです。
そこで納得して引き下がったらそこで話は終わったのですが、私は引き下がることをしませんでした。
実は何年か前に余市で驚くほどおいしい「さくらんぼ」を食べたことがあり、それが木で完熟した「さくらんぼ」であったことをその時確信したのでした。

その場で「通常の二倍以上の価格でいいので売ってください、返品は一切しません」とお願いしたところ「収穫する木を毎年決めてそれ以外の木ではそのようなことをしないので数量は限定する」という条件付きで了承してくれました。その後、最初に収穫した完熟さくらんぼが会社に送られて来て社員皆で試食しましたが、そのおいしさに大騒ぎであったことは言うまでもありません。

仕入れ価格が高くなったこと、日持ちがしないので配送方法に工夫をしたことなどから、最終的に一般店頭で販売している二倍以上の販売価格になってしまいました。また、天候の影響があって収穫日が決められないことから、受注も届け日の指定が出来ない予約受注にせざるをえなかったりでサービスレベルは低下しました。そして容器も普通の段ボール箱、粒も普通の大きさでやや不揃い、見た目だけではとても買ってもらえそうな商品ではありませんでしたが、ネットショップ内でおいしさ、価格の高さの理由をきちんと訴求した結果、ネットショップではたちまち人気商品になりました。

このブログを読んで、ぜひ食べてみたい、と思った方もいるでしょうが、残念ながら、今はオンラインショップはあっても「さくらんぼ」の販売は行っていません。
さくらんぼの販売は3年ほど続きましたが、その後アサヒシール本社の「生鮮品の品質保証をする体制がないので生鮮品は扱わない」という方針が出て終了となりました。

最初から高品質、高級品を提供しようというのではなく、おいしさを追求した結果高価格になってしまったわけですが、その理由、価値をきちんと訴求することで高価格でも買ってくれるお客様が存在しているという事実を証明する事例として紹介させてもらいました。

 

 

 

トクホのようでトクホじゃないカナダドライ

fiber8000コカ・コーラ社が先月発売した「カナダドライ ジンジャーエール FIBER8000」がネットで話題になっています。(画像左側、右側は昨年キリンビバレッジ社が発売した特定保健用食品「キリン メッツコーラ」)

「トクホと誤解を招きやすい」という意見が大勢ですが、コカ・コーラ社の肩を持つわけではありませんが、トクホと間違えて買ってもらおうという考えではなく、新発売時に必要な「話題作り」が真意と思います。その意味でパッケージ、広告におけるマーケティング施策は、飲料業界トップとしての品位を多少疑うものの決して間違っているとは思いません。

話題が高まる一方で、商品、企業ブランドの低下というリスクは免れないと思いますが、安易にクリエーターの遊び心を受け入れたわけではなく十分計算した上での決断だったのではないでしょうか。

この件に関する広報のコメントが掲載されていますが、広報マンの悲哀を感じざるを得ません。はっきり「話題作りです」とはなかなか言えないでしょう。

fiber8000_02

次に考えられるシナリオですが

キリビバレッジがデザインの類似性で訴訟を起こす。その結果、メッツコーラの認知度がさらに向上し売り上げが伸びる。コカ・コーラ社は多少なりともコーラのシェアを奪われることになり、今回のマーケティング施策は失敗に終わる。

というのは考えすぎでしょうか。

千疋屋のオレンジゼリー

senbikiya01母の日ということで、昨日千疋屋のオレンジゼリーを買って実家に行ってきました。

千疋屋は創業1834年の千疋屋総本店からのれん分けした京橋千疋屋と銀座千疋屋の三店があり、今回のオレンジゼリーはエキュート品川にある京橋千疋屋で購入したものです。

東京に住んでいても三つの千疋屋があるということを知っている人は少ないのではないでしょうか。ともかく「千疋屋」というだけで高級果実を連想させる強いブランド力があります。

私も過去に何回か食べたことがありますが、千疋屋の果物、スイーツを日常的に口にする人は多くなく、高級さゆえの贈答用などハレの時の商品として利用されることが多いはず。この商品も例外ではなく(何しろ一ケ630円)芸能人御用達商品とも言われています。

この商品は写真のようにオレンジの上部をカットし、蓋と本体にわけて蓋はそのまま、本体の方は中身をくりぬきそれを使って作ったゼリーを本体に戻して詰めるという、確かに手間がかかっている商品ですが、「千疋屋」というブランドがなければ、これだけ高い価格で売れる商品にはなっていないことも確かです。

贈答市場においては、高級感、高価格品という話題性が購入動機になることが多く、私の場合も「おいしいものを母に食べさせたい」というより、家族間での話題作り、母に高級品を食べさせたという自己満足によるところが大きかったのです。

senbikiya02最後に、

初めて知ったこのシールの存在。

柑橘類の香りのほとんどは外皮にオイル状で存在しており、絞るという行為よって新鮮なオレンジの香りを持った果汁がゼリーのおいしさを高めるとというとても理にかなった情報提供に納得。